2021年2月12日、LTSが本決算と2024年までの中期経営計画を発表しました。
決算については既に上方修正をしていた事もあり、特段大きな変化はなし。
むしろ、今回は中期経営計画の方に株主の注目が集まっていたのではないでしょうか。
そこでこの記事では中期経営計画からLTSの将来性を考えてみたいと思います。
この記事の内容
人材確保
次の成長事業
以上の3点について解説します。
DXというテーマは2030年まで続くと言われています。

なのでこの記事が投資の際の参考になれば幸いです。
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注意
この記事の予想はあくまで当方の独自のものです。この記事を基にした投資の損失については一切の責任を負いません。
目次
数値目標
投資家としては何よりここが大事。
LTSはあまり業績を取りに行くスタイルではないようです。
しかし、それは安易に数値目標を発表して失望売りをさせない為の作戦とも解釈できます。
中計がスカスカと思う方も、もその辺を踏まえていただければ大枠の部分のみの把握もアリなのではと思います。
前回からの差
2021年 連結売上・・・70億円 連結営業利益・・・5.8億円 連結営業利益率・・・8.2%
2023年 連結売上・・・100億円 連結営業利益・・・12億円 連結営業利益率・・・12%
2024年 連結売上・・・120億円 連結営業利益・・・18億円 連結営業利益率・・・15%
LTS 新中期経営計画より
20年期比で24年期は、売上が2.2倍、営業利益は3.8倍、営業利益率は+6.4ポイントとなっています。
前回の中期経営計画で
2023年売上・・・80億円 営業利益・・・12億円
となっていましたが、今回の中期経営計画で
2023年売上・・・100億円 営業利益・・・12億円
と変更になりました。
その為営業利益率が「15% → 12%」と減少してしまいました。
ウェブセミナーでの社長の話によると、
新人採用や研修、海外での研究発表などの先行投資の「金額」は
売上が伸びてもそれほど大きく変わらないという事なので、
計算上、23年の営業利益は「15億円」と当方は思っていました。
しかし、予定では「12億円」。その原因は何なのか?
決算説明資料によると、この会社の営業利益増減要因として大きいのは
人件費と外注費
です。
例えば2020年12月期はワクト参画や社員の増加で人件費が増えました。(3億5100万円 → 6億3400万円)
そしてそのワクトが「協力会社やフリーランスを積極活用する事」もあって外注費も増えています。(2億9800万円 → 9億700万円)
先行投資費が同じと仮定するならば、23年の営業利益が据え置きなのは現時点で「子会社の人件費や外注費により利益が圧迫される」と考えるのが妥当。
つまり23年までにまた新しくM&Aを行い、それに伴う経費の影響が大きいという事なのかもしれません。
まあ、新しく発表された中期経営計画通りならテンバガーの条件が揃っているので、今後の決算発表で
どの程度進捗するのか、ひき続き注目です。
22年12月期を予測してみる
来月発売の四季報で22年12月期の業績予想値が出てくると思いますが、当方も独自に予想してみようと思います。
売上
21年12月期・・・70億円 ←今ここ
22年12月期・・・?円
23年・・・100億円
単純計算であと2年で30億円増える為、22年12月期の売上は15億円増の「85億円」と予想。
営業利益
21年12月期・・・5.8億円 ←今ここ
22年12月期・・・?
23年・・・12億円
21年を6億円と計算し直し、23年までに6億円増えるので、22年12月期の営業利益は3億円増の「9億円」と予想。

まあ、事業環境は良さそうなのでこれに近い値は出るはず
当方としては下手に期待させてイナゴをつかせるより、上方修正などの「材料小出し戦略」で、小さく上昇小さく調整を繰り返し
緩やかな右肩上がりのチャートを形成して行ってほしいと思っています。
22年の希望株価は
売上85億円、
営業利益9億円
純利益5.4億円(平均で営業利益の60%程が純利益になる為)
EPSは128円
・PER70なら → 株価8960円
・PER100なら → 株価12800円
です。
注意
あくまで当方の勝手な予想です。各自で分析を行ってから投資を行うか判断してください。
追記・・・21年6月号の四季報で22年の業績予想を確認
2021年6月発売の四季報の業績予想は以下の通りでした。
22年12月期
売上・・・85億円
営業利益・・・8億円
経常利益7億8000万円
純利益・・・5億円
1株当たり利益(EPS)・・・121.8円

あわよくば22年中に営業利益率10%以上と思ったのですが、まあそんなに簡単にはいかないですよね。
人材の確保をどうするか?
2019年4Q コンサルタント・・・127名 エンジニア・・・111名 コーポレート・・・29名 営業/ビジネス職・・・19名 総勢286名
2020年4Q コンサルタント・・・144名 エンジニア・・・116名 コーポレート・・・34名 営業/ビジネス職・・・29名 総勢323名
LTS 2020年4Q決算説明資料より
SaaSのようにネットを通してサービスを提供する会社ならそれほど多くの従業員はいらないかもしれません。
しかしコンサル会社は人が命。LTSが得意としているビジネスプロセスマネイジメントも人が命。
従業員の推移で会社の将来がある程度計れるかもしれません。
さらなる加速が必要
昨年度の4Qと比べてトータルの従業員数は37名増加。
LTSの場合、取引先は既存の顧客から紹介してもらえるので営業員を増加させる必要はなし。
問題はコンサルタントとエンジニアの増加数です。
同業他社のベイカレントが新卒も含めてコンサルタントを390名採用していることを踏まえると物足りないですね。
企業規模が違うので一概に比べてはいけないと思いますが、LTSが最終目標にしているブランド力を向上させる為には、
ある程度の業績は必要なので、その源泉となるコンサルとエンジニアの増加は避けては通れません。
中期経営計画の中では「グループ全体で100名の純増を目指す」とあるので、これを是非実行していただきたいです。

社員数増加のカギを握るかもしれない「FPTコンサルティングジャパン」
FPTの顧客基盤・エンジニアとLTSのコンサル能力を掛け合わせた会社で、まず日本で実績を作りゆくゆくは海外進出を狙ったものです。
また、大型案件に対応できるようにするため100~200名体制を目指しているようです。
今現在は20%の出資比率ですが、LTSの経営が効率的と相手が思うようになったら「じゃあ、完全にLTSさんにお任せしましょう!」
という流れになり、コンサル数が大幅増 → 大型案件獲得数増加 → 1年でEPS2倍も期待できます。
地力で採用活動するよりよっぽどいいし、ベイカレントと同じことやっていてもしょうがないと思うのでM&Aがもっとも効率的じゃないでしょうか。
問題点として買収費用などの諸経費が掛かりますが、それ以上の利益をもたらしてくれるはずなので期待しています。
合弁会社とは?
複数の会社が出資し合って新しい会社を作る事。
資本提携と似ているが会社全体で行う資本提携と違い、合弁はプロジェクトという意味合いが強い。
その国の財閥と組まなければ商売が難しいという場合に行われる。また、スピードとリスクの面でも有利になる。
詳しくはすばるM&Aリサーチをご覧ください。
プラットフォーム事業
単位 百万円
2019年1Q 売上・・・40 営業利益・・・2 2020年1Q 売上・・・58 営業利益・・・23
2019年2Q 売上・・・32 営業利益・・・▲13 2020年2Q 売上・・・52 営業利益・・・7
2019年3Q 売上・・・44 営業利益・・・▲2 2020年3Q 売上・・・56 営業利益・・・2
2019年4Q 売上・・・44 営業利益・・・10 2020年4Q 売上・・・70 営業利益・・・12
2020年12月期4Q 決算説明資料より
次代の成長ドライバー
当方としてはこのプラットフォーム事業に期待をしています。
理由は営業利益率が良いからです。
中期経営計画によると
2024年のプラットフォーム部門の業績は
売上・・・10億円 利益(多分営業利益の事)・・・3億円
となっています。
これを真に受けると営業利益率は30%とびっくりの値。
まあ、これが実現できるかわかりませんが少なくても
今の時点でプラットフォーム事業の営業利益率は18.9%あるので期待はしています。
コンサルやDX導入に比べるとプラットフォームはネットを中心とした事業なので経費が掛かりにくく、利益の減少が少ないのです。
また、ウェブセミナーによると社長直々に取り組んでいる事業なのでトップセールスによる効果も期待できます。
LTSは元々ビジネスプロセスマネイジメントとコンサルだけやっていた会社で、
DX関連の仕事は他社へ発注していたのです。
しかし、ビジネスプロセスマネイジメントとコンサルだけではお客さんが用意した予算の内
「3」しかもらえなかったので、
DXの仕事も自社が請け負えるよう体制を整え、残りの予算「7」の分ももらえるようになったとか。
つまり上手く事業転換して成長してきたのですね。
そしてここからさらに成長するための牽引役としてプラットフォーム事業が注目されます。
ただし、懸念点もある
図の通り売上は順調に伸びていますが、
営業利益が伸びが遅いですね。理由はおそらく「CS Clip」の開発にあると思われます。
CS Clipとは
「DXしたい企業とDXをしてくれる専門会社をつなぐサービス」。くちコミ機能が特徴。
ですが、昨年の夏に立ち上げたばかりのサービスなので
認知度向上のために費用を使っているものと思われます。
具体的にどんなことに使っているかは当方の力不足でわかりませんでしたが、
担当社員の採用やセールスの為の出張などで使っているんでしょうか。
まあ、昨年末時点でプラットフォーム事業の中心である「アサインナビ」の会員数は1831会員増なので
しばらくこちらに頑張ってもらうとして、その間にCS clipの成長を促進していただきたいですね。
まとめ
中期経営計画上は24年まで高成長。ただし21年、22年は先行投資の為に利益の伸びが物足りない予想。
M&Aなどを使って人材を確保したり、プラットフォーム事業の成長が今後のカギになる
中期経営計画の全体の印象としては「無難」です。
ここの会社はいつも保守的な予想を出して、3Q辺りで上方修正をしてくるリズムです。
だから21年期の業績については、今の予想値を見て悲観することもないと思います。
株価としてはこの計画を見たことで短期組が失望売りをして、信用買い残が減り
上値が軽くなる事が理想です。
株価は概ね業績に連動することは不変で、買える銘柄の中で買いたい銘柄もないので3年は保有するつもりで待ちたいと思います。
ありがとうございました。