書評 株式投資

60年の信頼と実績 「株式投資で普通でない利益を得る」 書評

2021年1月23日

 

聞き手
成長株を扱った本の古典を知りたい

 

今日はそんなお悩みにお答えします。

 

IRJを無名時代から保有し800万円の利益を得たshigeです。

 

そんじょそこらの薄っぺらい内容の本を読むなら古典を読んだ方がはるかに時間と労力を有効に使えます。今回は投資家なら一度は読むべき名著フィリップフィッシャーの本を取り上げます。

 

 

昨今はデイトレードやスキャルピングなど短期投資が流行っていますが、それらは個人投資家の最大の強み「時間による複利効果」を自ら放棄する手段なのでおすすめしません。

株式投資とは本来その企業のやっていることに共感し、応援するという意味で出資することです。

 

 

だから当方はそれを選んでいますし、それが一番儲かると思っています。

要は「無知な自分は余計な事をせず、その企業の優秀な人たちに資産を託す」が大切だと思います。

 

 

聞き手
ビギナーズラックで上手く行き、”自分は天才!”と勘違いして、その後株式市場から退場した人は数えきれないからね
そうですね。そもそも機関投資家に合わせる理由なんてどこにもないのですから、フィッシャーマインドでコツコツ行きましょう
shige

 

この記事の内容

普通でない利益を得る方法とは?

他の本とどう違うのか?

以上の2点について解説します。

 

株式投資で普通でない利益を得る    著者 フィリップ・A・フィッシャー   訳 井田京子

監修 長尾慎太郎    2200円

 

 

著者紹介

フィリップ・A・フィッシャー

 

1928年から証券分析の仕事を始め、1931年にコンサルティングを主としたフィッシャー・アンド・カンパニーを創業。現代投資理路を確立した1人として知られている。

著書に「投資哲学を作り上げる 保守的な投資家ほどよく眠る」などがある。

 

フィッシャー自身はかつてグレアムの提唱している割安株投資法をしていたことがあるようです。

しかしそれで失敗し、「本当に大切なのは今の利益ではなく将来の利益だ」と学びます。

両者の投資法の違いは、グレアムは過去と現在の数字を重んじるのに対し、フィッシャーは将来価値の予測に心血を注ぐことが特徴ですね。

グレアム=定量的 フィッシャー=定性的 と言っても良いでしょう。

 

よってフィッシャーは企業が成長する限り10年、20年ひいては永遠に保有するという場合もあるようです。

 

ウォーレン・バフェットに「自身の85%はグレアム、15%はフィッシャー」と言わしめるほどの影響を与えた

レジェンドの考え方をこの記事で学んでいきましょう。

 

要約

約60年前に書かれた本であるにもかかわらず今日でも彼の技法は数多くのプロアマの投資家の手本になっている。

その普遍的な内容はベンジャミン・グレアムの「賢明なる投資家」とともに古典中の古典と呼ばれるまでに至っている。

これまで紹介してきた本は「将来大きな利益を生み出す企業(銘柄)を正しいタイミングで買って正しいタイミングで売る」事を念頭に置いた内容だったが、この本は「正しい企業(銘柄)を買えば成長し続けるので売る必要がない。だからそれを見極めるためにはどうしたらいいのだろうか?」という視点で書かれている。そしてその為の具体的な手法は「15のポイント」と「周辺情報利用法」に集約されている。

 

実際に読んでみると274ページのほぼ全て文章で具体例がふんだんに盛り込まれています。

それだけの具体例を書けるのは著者の努力と人脈のなせる業ですが、結構大変。

 

そして成長株に長期投資する場合、相場の変化を何度も経験するのでその度に損切り・利確をしたくなりますが、

フィッシャーはあくまで「その企業の中に変化が起きた時が売買のタイミング」という発想で、

相場よりその業界と会社の変化の推移について文章を割いています。

 

コネクションを持っている時点で勝ち組じゃんw
shige
聞き手
でも、その一方で”業績予測にプロも素人もない”から、圧倒的不利という事でもないはずよ。

 

この本の肝

15のポイントと周辺情報利用法をわかりやすく図表にしたもの

15のポイントは人生経験がものを言いそうです

①その会社の製品やサービスには十分な市場があり、売上の大きな伸びが数年以上にわたって期待できるか

②その会社の経営陣は現在魅力のある製品ラインの成長性が衰えても、引き続き製品開発や製造過程改善を行って、可能なかぎり売上を増やしていく決意を持っているか

③その会社は規模と比較して効率的な研究開発を行っているか

④その会社には平均以上の販売体制があるか

⑤その会社は高い利益率を得ているか

⑥その会社は利益率を維持し、向上させるために何をしているか

⑦その会社の労使関係は良好か

⑧その会社は幹部との良い関係を築いているか

⑨その会社は経営を担う人材を育てているか

⑩その会社はコスト分析と会計管理をきちんと行っているか

⑪その会社には同業他社よりも優れている可能性を示唆する業界特有の要素があるか

⑫その会社は長期的な利益を見据えているか

⑬近い将来、その会社が成長するために株式発行による資金調達をした場合、株主の利益が希薄化されないか

⑭その会社の経営陣は好調なときは投資家に会社の状況を饒舌に語るのに、問題が起こったり期待が外れたりすると無口になっていないか

⑮その会社の経営陣は本当に誠実か

 

 

つまり投資すべき理想の企業とは以下の通りにまとめられます。

優秀で誠実な経営者が、新規事業や新製品の開発に挑戦し続け、利益率を維持するための努力を怠らず、研究・生産・販売の各部門が充実しており、なおかつ次代を担う人材が育つ環境にある企業

 

これを基準にすると多くの企業が脱落していきますなw

トヨタとか三菱商事とか老舗と言われている企業を発見する確率と同程度の難易度です。

逆に言えば昔からのトヨタの株主は配当金だけで暮らしていけるほど含み益が増えているので、当方を始めとする個人投資家の最終目標でもあります。

 

株主が大きな利益を得るためにはその企業が長い年月をかけて成長していかなければなりませんが、

会社が大きくなるにつれて役員は保守的になるので誠実さは薄れていく気がしますね。

目先の利益を優先するあまり、株主や従業員など周りの人への接し方がぞんざいだと次の会社の担い手がいなくなり、

業績悪化、株価下落という路線は珍しくありません。

 

ちなみに日本企業の時価総額ランキングを見てみると

1989年は                        2020年1月22日現在

1位 NTT 21.53兆円                 トヨタ自動車 24.99兆円

2位 日本興業銀行(みずほFG)13.33兆円        ソフトバンクグループ 18.39兆円

3位 住友銀行(三井住友FG)9.94兆円          キーエンス 14兆円

4位 富士銀行(みずほFG)9.58兆円           ソニー 13.21兆円

5位 第一勧業銀行(みずほFG)8.63兆円         NTT 10.53兆円

6位 三菱銀行(三菱UFJG)8.15兆円           ファーストリテイリング 9.73兆円

7位 三和銀行(三菱UFJG)7.76兆円           中外製薬 9.43兆円

8位 トヨタ自動車 7.65兆円              日本電産 8.46兆円

9位 東京電力 7.42兆円                任天堂 8.14兆円

10位 野村證券 6.19兆円               信越化学工業 8.04兆円

 

30年で「銀行 → 通信・デジタル」 へと日本の主力企業の変遷が明確になっています。

 

時価総額は株価が絡んでいるので一概に企業だけの責任ではありませんが、30年間変わらずに生き残る事の難しさを感じます。

例えば、ファーストリテイリングの上場は1994年で最近の営業利益率は約11%程、任天堂の上場は1962年で営業利益率は20%台を維持。

どちらも十分な利益を上げていますし、市場や製品の開拓も進んでいます。

 

しかし、30年前の株式市場ではファーストリテイリング上場すらしておらず、任天堂は61位で時価総額1.71兆円。

 

これだけで「15のポイントが有効な手法だ!」とは言えませんし、「実践しよう!」とも言えませんが、

銘柄選びの1つの目安になる事は確かです。

 

周辺情報利用法とは?

「その会社の関係者に話を聞いて、まだ数字になっていない状況をいち早く知る事」です。

 

確かに、その会社の社長や現役社員に質問しても会社を褒めることはあっても批判は絶対しないでしょう。

それならまずはその会社の周辺にいる人から話を聞き、客観的な評価を下すというのは合理的な考えだと思います。

 

そして関係者とは具体的には以下の通りです。

その会社の元社員

出入り業者

取引先

競合他社

大学や政府の研究者

 

前回の記事、「10倍株・100倍株の探し方」の本の中でも少し触れていた事と同じですね。

例えば、小売店なら直接店に行って店内の活気、店員の笑顔で業績の良さが判断できます。

また、工場の近くに住んでいる人なら工場の煙突から煙が出ていれば生産量が多いんだなとか、

出入り業者ならその会社の在庫量や機械の稼働の様子を見て景気の良さを判断できますし、

元社員なら会社内の人間関係や現場と事務所の人間関係も知っているでしょう。

 

ただ、先にも触れた通りこれを実行できるのは人脈や仕事上の特権を持っている人だけに限られますね。

普通の個人投資家ではまずできません。そういう意味では経験のある業界の会社に投資するのが成功の近道かもしれませんね。

 

この本の特徴

この本の特徴3点を図表にしたもの

実践的なノウハウではなく概念に近いイメージ

なんと言っても定性的な話に終始している事です。

当方は数字が苦手なので定性的な話には特別抵抗がないのですが、人によっては「話が漠然としていてわかりにくい。根拠を示せ!」と憤るかもしれません。

 

ただ、所詮数字や理論は後付けの言い訳、「平和」である事が前提になっています。

数字を生み出しているのは人間であり、人間には感情があるのでいつも正確に理論通り事が運ぶ訳じゃありません。

 

 

 

数字で株価予想をする弊害

例えばよく掲示板で細かい数字を使って論理的に解説している方々がいらっしゃいます。

一見そのコメントは説得力がありますが、

 

最初に数字で外枠や最大値を設定してしまうと、それ以上の事を考えなくなったりそれ以上の可能性を切り捨ててしまったりと、大きな利益を取り損ねる場合があります。

 

株式投資の一度火が付いた時のパワーは、良くも悪くも簡単に数字を吹き飛ばしてしまうほどの威力があるので、小さくまとまらないようにしたいものです。

 

当方は昨年4月に改正外為法が施行されたことによるIRJの業績への影響に不安を抱き、直近高値の株価8バガーよりは上がらないだろうと、7バガーで保有株をすべて処分してしまいました。

ですが、その後株価はうなぎ上りを続け2021年1月22日現在で売らずに持っていれば20バガーとなっていたはずでした。

 

今思うと日本の株式市場の6割は外国人と言われているので、日本政府が彼らを排除するはずもないですよね。

だから企業買収も活発になりIRJの業績は伸び続けると考えるのが妥当で、保有株を売ってしまったのは実にもったいなかったです。

 

数字の分析以上に自らの感情に負けない心が大切だと痛感した出来事です。

 

ウェブセミナーで直接質問する

インターネットを使う事で投資家からも企業に質問や感想を届けることができるようになりました。

都合の悪いことをポジティブな言葉に置き換えられてしまうかもしれませんが、質問に対してどれだけ真剣に答えてくれるかで投資すべき対象か判断できます。

以下当方が良く使うウェブセミナーを紹介します。

 

Event's IR・・・美人金融アナリスト三井智映子氏と毎回変わるゲスト、そして企業のIR担当者による説明会。youtubeだけど広告が入らないので見やすいです。

ウェビナー・・・馬場勝寛氏が社長のIFAが主催するウェブセミナーです。企業担当者だけでなく経済アナリストによる講演もあるので見識が広がります。

 

このほか敷居は高くなりますが「株主総会に行く」という手もあります。

服装や人前で質問をする度胸などエネルギーは使いますが、、社員さんとか社内の雰囲気を観察できるいいチャンスでもあります。

 

 

まとめ

フィッシャーの投資法の肝は「15のポイント」と「周辺情報利用法」に集約されている

下手に数字で上限を決めると大きな利益を取り損ねる

周辺情報利用法はウェブセミナーを活用することでカバーする

この記事には書ききれませんでしたが、他にも「投資家が避けるべき五つのポイント」など他にも為になる章があるので気になった方は是非読んでみてください。

 

最後に、この本のAmazonにおける評価数が意外と少ないのは「定性的な話が多く再現性がない」と考えている人が多いからだと思われますが、

当方としては逆に稼ぐチャンスを感じています。数字通りに株価が動くなら全員億万長者になっているはずなので。

 

みなさんも参考にしてください。ありがとうございました。

 

 

 

広告

    • この記事を書いた人
    • 最新記事

    shige

    年齢 アラフォー

    住居 愛知県

    職業 個人投資家 ブロガー

    町工場勤めから今年本格的に個人投資家へ転身。 中長期投資なのでファンダメンタルズを重視しています。

    このブログで自分の成功体験・失敗談・ノウハウを公開していきたいと思います。初心者の方に参考にしていただけたら嬉しいです。

    お勧め記事

    1

    考え方を変えれば人生が変わる 雇われ先に左右されない生き方として株式投資があります。 短期売買は難しいですが、中長期投資なら個人投資家にも利 ...

    2

    当方もまだまだ勉強中ですが、実際に投資したり銘柄検索をしていて手ごたえのあったやり方を紹介していきます。 shige中長期ファンダメンタル投 ...

    3

    四季報銘柄を中心にして分析しています。 ファンダメンタル分析の実践編です。 有名投資家の本を読んでいい所取りしたり、自分の経験則を用いて銘柄 ...

    4

    読書は自分を成長させる 読書をする人が減っていると言う事は、読書をすることで他人との差別化ができると言う事でもあると思います。 また、全部読 ...

    -書評, 株式投資

    Copyright© 当方見聞録2 , 2021 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.