四季報銘柄

銘柄分析 製薬会社として異色の成長を続ける中外製薬

2020年4月17日

中外製薬の分析記事のアイキャッチ

四季報で特集されている銘柄って本当に投資対象になるの?

「○○ランキング」だけじゃその企業の特徴がわからなくて判断できない・・・。

そんな悩みにお答えします。

 

四季報の銘柄をコツコツ地味に分析しているshigeです。

 

チャートを使えば株価は時系列で見れるのに、四季報に載っている資産とか利益剰余金の額ってその年の分しかわからないですよね。

でも、その会社の有価証券報告書を読めば時系列で5年分わかりますし、決算短信を読めば四半期毎の状況もわかります。株主思いの会社ならHPに「当社の強みはこれです!」とはっきり書いてあったりもします。

だからそれらを理由に投資判断するのが現実的じゃないでしょうか。

 

 

聞き手
確かに。四季報だけじゃ心許ないもんね
でしょ?当方も含めて多くの投資家は素人だから、パッと見てわかる情報を出している会社に投資したいよね
shige
聞き手
でも、決算短信とか読むの、ちょっとめんどくさいし
大丈夫。当方が代わりに読んで報告します!
shige

 

という訳で

この銘柄分析シリーズではそんな「ちょっとだけ面倒な事に挑戦してお宝銘柄を発掘しよう」という企画でお送りしています。

 

今回、分析するのは営業利益率ランキング14位の「中外製薬(4519)」です。

事業内容は製薬で、営業利益率は37.84%です。

 

 

以下HPへのリンクです

注意ポイント

・ここでベースにしている四季報の数値はコロナショックをほとんど踏まえていないので、当方の分析もあくまで目安程度に考えてください

・買う事をお勧めする記事ではありません。この記事、及びブログ上の情報の内容の正当性、有効性、正確性について保証するものではありません。当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当方見聞録2では一切の責任を負いかねます。

 

結論

中外製薬の記事の結論の図

分割の基準日は6月30日です。

 

事業内容

医薬品の研究、開発、製造、販売および輸出入

 

強み

・2018年がん領域製品の国内シェアは17.9%。2008年以降11年連続でトップシェアを維持している。

・2018年国内抗体医薬品売上高、1兆1051億円のうち24.5%に当たる2707億円が中外製薬によるもの。

・病院で使われる医療用医薬品に特化している。一般医薬品事業は2004年に既に売却済み。

・遺伝子組換え技術や細胞培養技術を用いて製造したたんぱく質を有効成分とする医薬品「バイオ医薬品」の研究を30年以上前から行っている。

先の抗体医薬品もその一つ

・スイスにあるロシュと業務提携を結んだ事で抗がん剤を中心としたロシュの医薬品を国内で独占販売できる。同時に自社製品を海外に売ることができる。

・管理職に占める女性の割合は13.3%。男性の育児休暇取得率は57.7%。在宅勤務利用率は女性で48.1%、男性で27.2%

 

と強みを数え上げればきりがない位です。

 

ちなみに

・スイスのロシュ社はインフルエンザ治療薬で有名な「タミフル」等を作っているの世界有数の製薬会社。売上高7兆1600億円、営業利益2兆5200億円、拠点は世界に150か国。

・抗体医薬品とは「その病気専用の免疫を創り出して治療する薬」の事。詳しくはこちら

 

 

 

念のため売上構成比の図を載せます

中外製薬の売上構成比の図

2019年はがんの薬が40.8%とややダウンするが、国内のがん領域では依然トップシェアの16.4%

 

2018年時点で売上の半分以上はがんの薬。

ロシュと提携してからの18年間で、売上は約4.5倍・営業利益は10倍強・営業利益率は約2.3倍。

海外売上⽐率は約6.5倍、売上・利益の過去最⾼を4年連続の見込み。安定した収益があるので研究開発に資金を回せるという好循環になっています。

 

ロシュの子会社となったけど独立して経営できるのは寛大な対応だと思うよ
shige
聞き手
東証1部も維持できるから日本人としてはありがたいわね

 

ここまでをまとめると中外製薬の強みは

創薬力、ロシュとの提携による海外展開、がんの分野に強い
shige

 

業績

中外製薬の売上、営業利益、経常利益の推移の図

「借金をしていないor少ない」ので営業利益と経常利益がほぼ同額

よく言えば安定していますが、こういった図を見ると製薬業界に伸びしろが少ない事が良くわかります。

製薬会社が生き残るためには、武田薬品工業の様に世界に通用する巨大企業になるか、特定の分野に特化するか、ニッチな分野を目指すかの3択になるようです。中外製薬は医療用医薬品やがんの薬に強いので特定の分野に特化するパターンを選んだ模様。現時点ではうまく行っているようです。

 

今後の取り組み

・抗がん剤のテセントリク、血友病の薬ヘムライブラの国内市場への浸透

・サトラリズマブという新薬の承認・上市(販売)。詳しくはこちら

・横浜や静岡に新しい研究施設を建設

等々。

shige
薬は命に係わるので当方からはあまり具体的な事を書くのは控えさせていただきます。

ただ先日ご紹介した塩野義製薬より期待感はあります。

 

チャート

中外製薬の5年チャート

TradingView提供のチャート きれいな右肩上がりのチャート

昨年の9月から急上昇を開始。

国内向けのがん主力品の「パージェタ」や「テセントリク」が好調によるものと思われます。それにより営業利益は64.3%増で通期予想を上方修正。

今年に入り3分割の株式分割を発表。コロナショックの影響を受けるものの再度の上昇開始という流れです。

 

 

当方の注目指標

 

他社と比べる事で成長スピードを客観的に見ることができます。

グラフが上を向いていれば成長スピードが上がっている。横ばいなら維持できている。下向きなら成長スピードが鈍ってきていると言えます。

 

武田薬品工業はアイルランドのシャイアー社を買収したことで総資産が3倍に膨れ上がりました。中外製薬や他の2社も数%~15%程資産は増えていますが武田薬品工業が際立っていますね。

こうなるとグラフを載せる意味がないかもしれないですが、資産は増えたものの武田薬品工業のEPSや営業利益の増減割合は下がっているので経営が順調とは言い難い状況です。

その点中外製薬は全ての指数が右肩上がりなので製薬会社としては優秀じゃないでしょうか。

 

成長性スピード

中外製薬の成長性の指標の図

製薬会社としては異色の成長

海外で血友病薬「ヘムライブラ」が拡大してロイヤルティ収入が膨張したとの事。

また、副作用の低減を狙った薬剤候補が20年中に治験段階に入り、血液のみでがん検査可能な装置も20年内に申請する予定。

 

四半期ごとEPSの推移

四半期毎のEPSの推移を観る事で成長スピードが加速しているか、鈍化しているかをいち早く察知できます。

前年同期比で25%以上あれば投資に値するのですが、中外製薬の場合はどの四半期も25%以上あるので驚異的な成長を遂げています。

 

この数値だけ見ていると小型株が軌道に乗った時と似ている。
shige

 

ROA

中外製薬の総資産、当期純利益、ROAの図

当期純利益がもっと伸びてほしいが業界的に妥当なのだろうか

資産をうまく利益に繋げていられるかを見る指標です。ROEは借金をしても上昇してしまうので当方はROAを重視しています。

19年期は研究開発費が80億ほど増えたにもかかわらず当期純利益は700億円も増えています。

創り続ける大変さはありますが、ヒット作が出れば製薬業は莫大な利益を手にできると言う事をまざまざと見せつけられましたw。

四半期ごとの売上の推移

売上から経費を引いたものが利益なので、四半期毎の売上の増減を知ることも成長スピードの計測に有効です。

 

売上は驚異的な伸びではないですが、その分EPSやROA等の指標の伸びが大きいので成長スピードは維持できていると言っていいでしょう。

 

倒産リスク

中外製薬の倒産リスクに関する図

借金なしは大きな評価ポイント

確かに借金をすれば実力以上の成果が出せる可能性が高くなりますが、不況はある日突然やってくるので資金繰りに困らないよう極力借金はしない方がいいです。

なので当方は借金無しという会社を評価しています。

自己資本比率

負債も含めた資産全体に対して返さなくていいお金が多ければ当然倒産もしません。

自己資本比率は50%以上で合格、80%以上で優秀。逆に20%以下で危険水域となります。

(自己資本・・・返さなくていいお金のことで、純資産とも言われる)

 

自己資本比率(%)79.580.181.282.280.6

左から順に15年期、16年期、17年期、18年期、19年期です。

何も問題なしです。

 

営業キャッシュフロー

営業キャッシュフロー(百万円)6291838787107623119074206641

左から順に15年期、16年期、17年期、18年期、19年期です。

投資キャッシュフロー、財務キャッシュフローもマイナスなので特に心配なしですね。

まとめ

・投資対象として・・・「◎」

・創薬技術、販売網、経営効率、成長性、株価チャート。今の所付け入るスキがない。

・ただし買うなら株式分割後の方がいいかも

今現在はコロナのワクチンや治療薬の方に注目が集まっていますが、終息後は恐らくがんの治療薬が再び注目を集めると当方は勝手に推測しています。

ただ、一庶民としては製薬会社が儲かる時は病気になる人が増える時なのでその辺の葛藤が難しい問題だなと思います。

 

まあ、不景気に強いという意味でディフェンシブ銘柄の代表格・製薬会社は有望ではあります。投資機会を狙っている方はどうかこの記事を参考に分析してみてください。

ありがとうございました。

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    shige

    元々はギタリストになりたくて専門学校に入学したが挫折。 地元・愛知に帰りアルバイトや工場勤めを経験して今に至る。 投資スタイルは「中長期投資」 2017年から投資していた「アイ・アールジャパンホールディングス」が株価8倍になったことをきっかけに、本気で仕事を辞め投資家生活に入ることを画策中。このブログでもノウハウを公開していく予定です。

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