会社四季報で特集されている銘柄って本当に投資対象になるの?
「営業利益率ランキング」だけじゃその企業の特徴がわからなくて判断できない・・・。
そんな悩みにお答えします。
四季報の銘柄をコツコツ地味に分析しているshigeです。
チャートを使えば株価は時系列で見れるのに、四季報に載っている資産とか利益剰余金の額ってその年の分しかわからないですよね。
でも、その会社の有価証券報告書を読めば時系列で5年分わかりますし、決算短信を読めば四半期毎の状況もわかります。株主思いの会社ならHPに「当社の強みはこれです!」とはっきり書いてあったりもします。
だからそれらを理由に投資判断するのが現実的じゃないでしょうか。




という訳で
この銘柄分析シリーズではそんな「ちょっとだけ面倒な事に挑戦してお宝銘柄を発掘しよう」という企画でお送りしています。
今回、分析するのは営業利益率ランキング12位の「ネクソン(3659)」です。
事業内容はオンラインゲームの開発・配信で、営業利益率は40.00%です。
以下HPへのリンクです
尚ランキング11位の「ギフティ」は上場してから日が浅く、データが少ないので分析を見送りました。
注意ポイント
・ここでベースにしている四季報の数値はコロナショックをほとんど踏まえていないので、当方の分析もあくまで目安程度に考えてください
・買う事をお勧めする記事ではありません。この記事、及びブログ上の情報の内容の正当性、有効性、正確性について保証するものではありません。当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当方見聞録2では一切の責任を負いかねます。
結論
事業内容
1994年に設立した韓国系のオンラインゲームの開発・配信をする会社。
2000年に日本進出で、今現在世界190か国以上に60以上の作品を配信中。
強み
・メイプルストーリー、アラド戦記という2大ヒット作を保有。それぞれ発売から16年、14年という息の長い作品となっている。
・アジア市場で成長している
メイプルストーリーもアラド戦記もネット上で大人数でやるRPGです。
メイプルストーリのプレイIDは400万。日本でもかつてPCオンラインゲームとして流行したことがあるらしいが、今はスマホゲーム全盛の時代。PCでオンラインゲームをするのは古参のファンか、懐かしくなってきて戻ってきた復帰組かのいずれになると言う事。
アラド戦記はウィキペディアによるとジャンルは「スタイリッシュアクションRPG」と呼ばれ、全世界で登録IDが2億あるとの事。中国で220万、韓国で28万の最高同時接続者数を誇っている。
しかし、日本においては不正利用者が増えたりゲーム内で実際のお金を使わせようとする業者がいたり、メンテナンスが長かったりと言った事象が重なり、今現在では配信終了がささやかれるほどの状況になっている模様。
現にネクソンは昨年、スウェーデンにあるゲーム開発会社 「Embark Studios AB」を連結子会社化して、欧州での市場開拓に力を入れていく方針を表明している。


業績
直近5年間と20年期の予想数値です。
数字ではなくグラフを使って視覚的に確認すると目覚ましく業績が伸びていると言わけではないようです。特に17期以降は売上げと営業利益率が高止まりしています。他の分野でもそうですが、売上が頭打ちになると他の企業を買収して利益を増やそうとする傾向があるので、ネクソンもその状態かなと分析しています。
2019年の「地域別の売上の割合のグラフ」と「プラットフォームごとの売上割合のグラフ」です。
地域別では、実に売上の8割を中国と韓国が占めています。金額にするとこの2か国で約1998億円。韓国はホームアドバンデージ、中国は人口が日本の10倍いるので当然消費も多い。ある意味納得の結果です。
プラットフォーム別では一目瞭然、圧倒的にPCによる売上が多いです。先に述べた通り、今の日本はPCよりスマホに勢いがあるので中国・韓国は一昔前の日本と同じ状態なのかなと思います。リスクヘッジという意味で、ネクソンも近いうちにモバイルに力を入れてくる可能性があると考えます。
チャート
2017年から株価は上昇をしています。18年2月26日週に最高値2005円を付けた後一定のレンジでの推移になっています。現在は当方が引いた緑のラインによって上値、下値ともにある一点に向かって値動きしており、このペースなら年内に上値突破するか、逆に下値を試す展開になるかどうかと予測しています。あくまで参考に。
当方の注目指標
ネクソンだけでは成長がわかりにくいので四季報に載っていた同業他社との比較をグラフにしてみました。
基本的にゲーム業界はヒット作が出ればその年は大きく業績が伸びますが、ヒット作が出ないと悲惨な状況になるという特徴があります。ガンホーのパズドラなんていい例ですよね。
この3つの図からわかる通り、どの会社も指数の振れ幅が大きく好調さを維持できているとは言い難い状況です。
ネクソンの場合、3つの指標ともに17年期が最高潮でそれからは下降ですね。

成長性スピードの動向
アラド戦記のPC版が中国で下期上向いたとの事。また中国・韓国で人気の新作「カートライダー」を年内に欧米で展開する予定。
四半期ごとEPSの推移
四半期毎のEPSの推移を観る事で稼ぐ力の伸びがいち早くわかります。
19年の2Q 以外はプラスなので、この2年間で明確に稼ぐ力が衰えたという訳ではないです。しかし来期の年間EPSは113.5年なので今期と比べ16円ほど減額です。年間EPSの「伸び率」も下降しているので業績としては「踊り場」であると言えるでしょう。
ROA
総資産と当期純利益がさほど伸びていないので自然とROAも高止まりの状態です。それでも16%あるので優秀なのには変わりありませんが。
四半期ごとの売上の推移
四半期ごとの売上の推移も見て成長スピードを確認します。
こちはら3Q と4Q が前年同期比でマイナスとなっています。深刻な数値ではないですが、EPSと同様成長スピードは踊り場に居ます。
倒産リスク
自己資本比率
自己資本比率(%) | 88 | 84.4 | 85.6 | 85.4 | 86.2 |
左から順に15年期、16年期、17年期、18年期、19年期です。
返さなくていいお金が、いずれの年も80%越えているのでこの数値は大丈夫です。
営業キャッシュフロー
営業キャッシュフロー(百万円) | 60152 | 73293 | 80718 | 118018 | 105073 |
左から順に15年期、16年期、17年期、18年期、19年期です。
仕事をしてお金が稼げているかを表した数値です。すべてプラスなのでしっかり稼げていることがわかります。


まとめ
投資対象として・・・「×」
そもそも競争の激しい業界
業績は踊り場
中国・韓国以外の市場の開拓と代表作の開発ができるかどうかがポイント
当方自身は据え置き型のゲームに慣れているのでオンラインゲームの事は門外漢です。
ただ、少なくても日本においては少子化になっていくので、不動の人気作を持っている企業以外は過酷な業界だと言う事は予測できます。
投資される方はその辺をよく踏まえて判断してください。
この記事が参考になればうれしいです。ありがとうございました。