会社四季報で特集されている銘柄って本当に投資対象になるの?
「営業利益率ランキング」だけじゃその企業の特徴がわからなくて判断できない・・・。
そんな悩みにお答えします。
四季報の銘柄をコツコツ地味に分析しているshigeです。
チャートを使えば株価は時系列で見れるのに、四季報に載っている資産とか利益剰余金の額ってその年の分しかわからないですよね。
でも、その会社の有価証券報告書を読めば時系列で5年分わかりますし、決算短信を読めば四半期毎の状況もわかります。株主思いの会社ならHPに「当社の強みはこれです!」とはっきり書いてあったりもします。
だからそれらを理由に投資判断するのが現実的じゃないでしょうか。




という訳で
この銘柄分析シリーズではそんな「ちょっとだけ面倒な事に挑戦してお宝銘柄を発掘しよう」という企画でお送りしています。
今回分析するのはランキング4位に輝いている「オービック (4684)」です。
営業利益率は「51.25%」。主な事業内容はシステムインテグレーション。
聴きなれない言葉ですが、今の社会になくてはならないシステムで、それを作っている会社がオービックです。
以下HPへのリンクです
それではひとつひとつ分析していきましょう。
注意ポイント
・ここでベースにしている四季報の数値はコロナショックをほとんど踏まえていないので、当方の分析もあくまで目安程度に考えてください
・買う事をお勧めする記事ではありません。この記事、及びブログ上の情報の内容の正当性、有効性、正確性について保証するものではありません。当該情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当方見聞録2では一切の責任を負いかねます。
目次
事業内容・・・システムインテグレーションの構築
独立系のシステムインテグレーションの構築をする会社。
システムインテグレーションとは効率よく情報のやり取りをするためのシステムの構築、運用、保守など一連の流れの事。
例えば銀行のATMの様に他の支店でお金を下ろしても、コンビニでお金を下ろしても自分の口座のある銀行に情報が伝わる仕組みなどが当てはまるそうです。
詳しくは以下のリンクを参考にしてください
大企業向けのサービスが堅調に推移しており業種別で見ても「金融向け、サービス向け、流通業向け、製造業向け」等業種を問わずシステム構築の引き合いが高まったとの事。
それに加えクラウド型のサービスも年々需要が高まっている。
顧客向けにクラウド関連施設の設備増強やセキュリティーサービスの強化、研修施設の拡張など付加価値の向上につながる先行投資も行っている。
オービックの強み・・・長年の実績とワンストップソリューションサービス
・ワンストップソリューションサービス
・自社開発、直接販売
・ERP累計導入社数No.1の実績
・幅広い業界、業種に対応している。250社、20000社以上のシステムを構築してきた実績
等
ワンストップソリューションサービスとは
取引先の状況に合わせて、「コンサルティング→システム企画→設計→開発→稼働→導入後のサポート&サービスまでを自社一貫提供する事
ERPとは
「企業資源計画」の事で、企業が持っている人、モノ、金、情報を効率よく使おうという考え方の事
要は「煩雑な業務を減らして、経営資源を有効に使うためのシステムづくり」がオービック強みで、またそれらをしっかりと営業利益率の高さに繋げることができています。
昨今は下請け会社に製造を任せる事で経費節約するのが主流となっていますが、これだとコミュニケーションの問題が起きやすくトラブルへの対応が遅くなります。その点、自社で一括管理していればトラブルが起きた時、迅速に対応でき責任の所在も明確で信頼につながりますよね。
そういったことの積み重ねで50年以上企業活動をしているのですね。
チャートは右肩上がり
2017年から右肩上がりの上昇を開始。当方は情報関連の会社は敬遠していたのですが、このチャートを見て考え方が変わりました。素晴らしいですね。
直近高値の1万6000円から4000円程下落してしまいましたが、そこから26週移動平均線まで上昇。
株式分割は2013年に10分割したのを最後に行っていない為、株余りにならずこの程度の下落で済んでいる模様と分析します。
これほど綺麗な右肩上がりのチャートも珍しいと思います。
成長性は休憩中
最近のEPSの推移は
17.3期は262.6円、18.3期は295.3円、19.3期は362.3円
この3年間は順調に推移していますが今期のEPS予想値は363.1円と前期から1円しか上がっていません。
これは当期純利益が伸びていないことに起因していますが、どうして当期純利益が伸びていないのでしょうか?当方の力不足でわかりませんでした。
見出しの言葉は「最高益更新」で、四季報に笑顔マークはついていないですが😞マークもついていないので、まあ焦らず気長に利益が出ることを待つのもいいでしょう。
EPSの推移
この2年間の四半期ごとのEPSの推移で会社の成長スピードを測ることができます。
今期2Q までは順調でしたが3Qで伸び率が10%まで落ちています。今の相場の状況を踏まえても、今期の即投資は控えた方が無難かもしれません。
売上高の推移
売上の推移に関しては、四半期ごとに200億円ずつ伸びています。
前年同期比で見てもおよそ10%程の伸び率なので安定しています。
売上からいろんな経費を引いて残ったのが利益ですから売上の拡大は企業の成長において大前提です。
ROA
15.3期は10.8%、16.3期は12.8%、17.3期は11.7%、18.3期は11.9%、19.3期は13.2%
5%あれば合格と言われているROAです。
オービックはこの5年間はおよそ10%以上を維持しており、資産をうまく利益に変えられていることがわかります。
倒産リスクはないと言って良い
株式投資をする上で投資先企業が倒産するかどうかは非常に気になるところ。
倒産リスクを計る時に使う項目は様々ありますが、主に上記の項目を使うとわかりやすいと思います。
オービックの場合は四季報の(特色)にも書いてある通り、無借金経営を続けているのでそれだけでも安心できます。
さらに現金やそれに準ずる物も潤沢にあることは一目瞭然です。
自己資本比率
15.3期は86.8%、16.3期は88.4%、17.3期は88.7%、18.3期は89.2%、19.3期は89.2%
日本企業の平均は40%で、50%以上あれば優良と言われています。
オービックはこの5年間80%台後半を維持。今期はとうとう91.2%を達成する予定です。
営業キャッシュフロー
15.3期は20980、16.3期は16656、17.3期は21311、18.3期は26107、19.3期は29843 (百万円)
税引き前の当期純利益がほぼそのまま残るようですね。
特段書く事もなく安心して見れます。
まとめ
・EPSの伸びが若干気になるが、売上やROAは安定しているのでしばらく様子見
・無借金経営な上、コロナショックで業績落ちても利益剰余金が多いのでしばらくはやり過ごせると思う
営業利益率ランキングに載っている企業は基本的に経費の掛からない事業を行っています。
その中でもオービックは設立こそ50年以上前ですが、昔のやり方に拘らず上手く時代に合った経営を行えていることが数字の面からわかりました。
歴代の社長たちがよっぽど優秀だったのでしょうね。
普段意識しませんが、システムインテグレーションは社会のインフラを支える企業として今後の活躍に期待です。
この記事が読者の皆さんの参考になれば幸いです。
ありがとうございました。