前回の記事と同様でなるべく数字化せず、将来有望な株を見つける方法はないものか?
そんな疑問が湧いてきたので本を読み進めたら該当項目がありました。
基本的に時代も場所も違うのであくまで参考として受け止める必要はあるものの、
ピーター・リンチの定性的な考え方をしっかり学んでいきましょう!
この記事でわかる事
リンチの提唱する「完璧な株」の特徴
注意
この記事の予想はあくまで当方の独自のものです。この記事を基にした投資の損失については一切の責任を負いません。
株で勝つ 著者 ピーター・リンチ、ジョン・ロスチャイルド 訳 三原淳雄、土屋安衛
監修 1800円
作者紹介
ピーター・リンチ
1944年生まれ。ボストン大学を経て、ペンシルベニア大学ウォートン校にてMBAを取得。69年アメリカの大手投資信託会社フィデリティ・マネイジメント・アンド・リサーチに社に証券アナリストとして入社。2年間の兵役義務の後、77年より株式投資信託マゼラン・ファンドの運用にあたり、90年に引退するまでの13年間に同ファンのの資産を2000万ドルから140億ドルへ世界最大の規模に育て上げる。
前回の記事はこちら
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数字好きは株に不向き ピーター・リンチ 「株で勝つ」 書評
ピーター・リンチの「株で勝つ」を読んだので書評をしてみたいと思います。 前々から気になっていた本をついに読み始め ...
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結論・・・「さりげなくスキマ産業でシェアを拡大している企業」を狙う
p149、「第8章 完璧な株、なんて素晴らしい!」でピーター・リンチはこう言っています。
競争の厳しい複雑な産業のなかの優秀な経営陣を抱えた優良会社と、単純だが競争のない産業のなかの平凡な経営陣を抱えた面白味のない会社とのどちらかの選択を迫られたならば、私は後者に投資するだろう。
そして以降のページで具体的な特徴を13の例に従って説明しています。

要は「目立つと機関投資家やイナゴなどの短期組の餌食になってしまうので、地味な企業を買おう」という事です。
似たようなことはとなりの億万長者でも言われていますね。
メディアをにぎわす企業は現在や将来の国を背負う企業なので、見栄を張らなければいけません。
社長は高価なスーツを着なければいけません。
都会の一等地に本社ビルを構えなければいけません。
大々的にCMを打たなければいけません。
社会貢献としてスポーツの大会などのスポンサーを務めなければいけません。
お金かかり過ぎですw
それに目立つとライバル会社の新規参入を招き競争激化、レッドオーシャンになります。
どうせ事業をするなら少ない元手で大きな利益、
少ないライバルに大きな利益。
が理想です。
株主としてもその企業がまだ成長段階なら、人気先行で株価が急上昇してほしくはないですね。
十中八九、大幅下落しますから。
実力も株価も徐々に増していってほしいです。
具体的にはどんな特徴か?
一部を引用すると
・面白味のない、または馬鹿げている社名
・気の滅入る業種
・ニッチ産業であること p150~167より抜粋
数項目の例外はありますが、だいたいは「投資家に相手にされない企業」という事が良くわかります。
ただし、そういう企業であっても業績が拡大してくれば嫌でも大口の注目を浴びるようになり株価が上昇します。
他のページに書いていた事ですが、機関投資家はさまざまな制約の中投資をしているようです。
時間、対象銘柄、ノルマなどなど。だから突拍子もない銘柄に投資をすると上司の評価が下がるのだとか。
一方、個人投資家はそういった制限がないので、小回りを生かして機関より先回り買いができるとの事。
そして先に述べたように「単純で競争のない仕事をしている企業は、経営者の資質は問わない」ので安定感があるとの事。
確かに優秀な経営者はそうそう出てくるものじゃないし、素人が公開されている情報だけで優秀かを判断するのも難しいです。

例示されている業種を日本株で検証
日本株で軽く検証してみます。
ネット上で無作為に選んだ、面白味のない社名として
不動産業界向けにシステムを提供している「3796 いい生活」の業績はどうでしょうか?
2021.3予想 売上・・・+3.8% 営業利益・・・▲26.8% 純利益・・・▲44.4% 1株利益・・・▲44.8%
コロナの影響で市場環境が不透明。書き入れ時の1~3月の引っ越しも需要が低水準にとどまる懸念があるとの事。
確かに「いい生活」という名前だけだと何をやっている会社かわかりません。
これなら投資家は敬遠するかも。キラキラネームぽいし。
株価チャートは上図の通り。
昨年秋以降右肩下がり。
コロナ前から株価3桁で、「安いものには訳がある」の法則を踏まえると買う気にはなりませんね。
せめてコロナがなく五輪の開催に問題がなければ違った結果だったのでしょうが。
気の滅入る業種として「葬儀屋」が挙げられていました。
日本株なら「2485 ティア」でしょう。東海地方から関東を始め全国展開をしている会社です。
当方が住んでいる愛知県の企業なので街中でよく見かけますが、業績はどうでしょうか?
2021.9予想 売上・・・+4.0% 営業利益・・・+21.0% 純利益・・・+30.4% 1株利益・・・+30.5%
現時点では好調の予想です。
しかし最近はお葬式を小規模で行うようになっているので客単価は減少。さらにコロナの影響もあり業界全体は縮小傾向。
ティア自身は業務の内製化などの企業努力が奏功していますが、経費削減だけでは限界があるので
売上をどこまで伸ばしていけるかが課題ですね。
まあ、あえて言うまでもなくコロナの影響は対面の仕事全般に及んでいます。
いい生活と同じく、株価が3桁なので安いものには理由があるという事がここでも確認できました。
最後に、ニッチ産業だと競争相手がおらず、市場の利益を独占できるので価格決定もできるとの事。
IRJの「IR・SRコンサルティング」という分野もかなりのニッチでした。
なるほどその後の上昇は約束されていたのですね。
まとめ
さりげなくスキマ産業でシェアを拡大している企業を狙う
ピーター・リンチの提唱する条件をそのまま実行すれば利益が出るかと言えばそうではないと思います。
PER、ROE、EPSなど各指標なども十分影響しますから。
それに今だと、決算が赤字なのにワクチン効果を先取りして鉄道とか旅行関係の銘柄が上がっていますね。
という事で今回の記事はあくまで参考程度に考えてください。
最終的に業績が拡大し続けられるか?が一番大事なので、
それを念頭に分析していきましょう。
ありがとうございました。