
最近、アドセンスやAmazonアソシエイトで収益が発生している事に感謝しかないshigeです。
今回の記事は「黒字転換2倍株で勝つ投資術」の書評です。
馬淵さんの名前は以前から知っていたのですが、LTSのウェブセミナーで解説を聞いてその聡明さが印象に残りました。中身のある話だけならもっといい人がいるのですが、プレゼンが上手と言うか、余計な情報を挟まずテンポの良い解説が売りですね。
と言うわけで馬淵さんの初の著作を書評してみたいと思います。
この記事の内容
・黒字転換2倍株の概要
・スクリーニングしてみた
・当方が面白いと思った項目
こちらも参考に
著者紹介
馬淵磨理子
経済アナリスト。
滋賀県出身。2013年関西の某医療法人に入社後、資産運用トレーダー業務を始める。独力で財務・経営分析力を磨いた結果、資産を3倍にする。2015年にフィスコのアナリストに転身。上司より堅実な銘柄選定法として「黒字転換2倍株」のノウハウを受け継ぐ。
雑誌・Webなど連載多数。「日本一バズるアナリスト」ともいわれる。
黒字転換2倍株の概要
それまで赤字体質だった企業が黒字に転換するタイミングを見計らって買いを入れる投資法の事。
黒字転換する企業はその後順調に業績を伸ばしていくことが多いという特徴を利用する。
当方は中長期成長株投資で、テンバガーになる企業を狙っています。しかし、将来大きく業績を伸ばす企業を探すのは膨大な数の銘柄群からお宝を見つけるようなもので困難を伴います。

その点、赤字から黒字転換する企業を探すのは初心者でも難しくありません。
なぜかと言うと
・赤字から黒字に転換する企業は少ない
・さらに赤字企業は割安で放置されているので、値下がりのリスクが小さい
という事が挙げられます。
時期によっても変わりますが上場している企業は約3800社。その内黒字転換する企業は140社程度。
これなら分析のハードルが下がります。
中堅以上の投資家なら得意なテーマやセクターがあるので、そういった自分軸を中心にスクリーニングをすればいいのですが、初心者の方だと自分軸がまだないですよね。だから「赤字から黒字へ転換」が扱いやすい自分軸になると思うのです。
また、テンバガーよりは出現確率が高く初心者向きとの事。
仮に黒字転換後、再度赤字に転落したとしても、最初から割安なので大幅な損失は出さないと思われるのも良いですね。
ポイントは3つ
①四半期ベースで見る
②継続的な営業利益、経常利益が赤字の状態から黒字転換するところを狙う
③最後に通期で黒字が続くか見当をつける
①については、
四季報やネットだと通期の業績が良く載っていますが、それで黒字転換を探そうと思っても既に株価が上がってしまっている場合があります。だからワンテンポ早く見つけるために四半期ベースで見ようと言う事です。
②については、
売上が出ていても経費が多ければ赤字ですね。だから本業で稼ぐ力をを表す「営業利益」と、会社全体の儲けを表す「経常利益」を確認しようと言う事です。
当期純利益が黒字に転換するのは営業利益・経常利益が黒字に転換してから時差があるので、業績好転のギリギリのタイミングを狙うという意味では営業利益と経常利益を重視するのだそうです。
ちなみに、本の中には当期純利益が黒字転換するまで時差がある理由は書いていなかったのですが、当方は不採算の事業や設備の処理にそれだけの時間がかかるからだと思っています。
③については、四半期ベースで業績を見ていくと黒字転換のタイミングは分かっても、その後も黒字が継続するかわかりませんよね。だから通期の業績予想を参考にして見当をつけようと言う事です。

スクリーニングしてみた
第2章ではマネックスやSBI証券などのスクリーニング機能を使って、実際に黒字転換候補を探す手順が紹介されています。
具体的な検索数値は本を買って確認していただきたいのですが、この項では当方が試しにスクリーニングした結果を分析してみます。
使ったのはフィスコのスクリーニング機能です。
証券会社のスクリーニング機能だと口座を持っている人しか使えないので、誰でも使えるフィスコにしました。
スクリーニング結果は5社ヒット
・2139 中広
・2323 fonfun
・3779 ジェイ・エスコムホールディングス
・6380 オリエンタルチエン工業
・7851 カワセコンピュータサプライ
2021年7月17日現在の結果です。
全部は紹介できないので、一番上の「中広」だけを取り上げてみます。
中広の詳細
業績
(百万円)
決算期 | Q | 売上 | 営業利益 | 経常利益 | 四半期純利益 | EPS |
21.3期 連 | 1Q | 1406 | ▲186 | ▲181 | ▲135 | ▲19.92 |
2Q | 1584 | ▲155 | ▲153 | ▲110 | ▲16.28 | |
3Q | 1774 | 36 | 40 | ▲69 | ▲10.17 | |
4Q | 1785 | 12 | 19 | ▲52 | ▲7.73 |
21年期(現在は22年期)は1Q,2Qは赤字。3Q以降は回復したものの秋ごろからコロナが再拡大したことで厳しい年度となったようです。
22年の通期予想は下記のとおりです。
(百万円)
決算期 | Q | 売上 | 営業利益 | 経常利益 | 四半期純利益 | EPS |
22.3期 連 | 通期 | 7561 | 104 | 120 | 11,56 |
チャート
週足5年チャートではまだ株価は反応していません。
ファンダメンタル面では2倍株投資術の「黒字が続く条件」に当てはまっているので、仮にここから投資するなら通期純利益の見通しがどこで出てくるか?、に注目です。株価の上昇はそこからではないかと予想します。
当方が面白いと思った項目
第6章で中長期投資家向けにシンクタンクのレポートを読んで情報収集することを薦めています。
当方が参考になったのは永濱利廣氏と井出慎吾氏のレポートですね。
特に永濱氏の「2021.6.14 景気予測調査から見た今期業績見通し」のレポートは参考になりました。まあ、ワクチン接種の恩恵を受けて運輸や娯楽業界が回復してくるのは個人投資家でも予測できていますが、文面やデータがわかりやすく、更新頻度も月3~4本なので理解しながら読む時間があると思います。
具体的な投資術ではないですが、相場の資金がどこに向いているかや経済の基本を知りたい方にはおすすめのレポートです。
その他にも企業のIRに問い合わせる時の質問事項や社長のインタビューから企業の成長を読み取る方法など、馬淵さんらしい視点が紹介されています。
まとめ
・「黒字転換2倍株で勝つ投資術」は堅実な投資法
・営業利益と経常利益が四半期ベースで黒字転換するタイミングを狙う
・シンクタンクのレポートで相場観を磨くことも大事
個人的には馬淵さんには中長期投資家向けの本をもっと出してほしいと思いました。
興味を持たれた方は一度読んでみてください。
ありがとうございました。