「投資をやっているけど保有銘柄の会社が倒産する確率を知りたい」
「コロナショックでも安心して保有していたい」
そんな疑問にお答えします。
長期目線で淡々と投資を続けているshigeです。
投資の教科書というタイトルが付く位鉄板な本ですが、コロナショックも踏まえて
今回は倒産リスクについて深堀していきたいと思います。
折角の保有銘柄を一時の感情で手放すのはもったいないですよ。銘柄分析を行って売るか保有を続けるかしっかり考えましょう。

「ファンダメンタル投資の教科書」を使い、7つの視点から診断していきます。
この本はいろんなサイトでおすすめされていますが、やっぱり実際に使ってみて初めて知識が身に付きますからね。
ファンダメンタル投資の教科書
個人投資家のバイブル。わかりやすさと信頼感で圧倒的支持!日本株投資のベストセラーが最新事例でパワーアップ!
会社四季報、決算書でここまでできる銘柄の選び方
足立武志 著 ダイヤモンド社 出版 1700円+税 4.0
この記事を読むメリット
他人の言葉に惑わされず自分で考える力がつく
下落相場の時にも自信をもって対応できる
今回は7項目の内4項目をご紹介します。どうかお付き合いください。
残りの3項目についての記事はこちら
-
ファンダメンタル投資の教科書で倒産リスクの診断をする ②
シンプルな内容だからおぼえやすい 調整相場でも淡々と次の上昇相場に向けて準備をしているshigeです。 前回に続いて今回は残り ...
①自己資本比率が低くないか
資本比率が80%以上であれば優良、50%以上なら合格点、逆に20%以下であれば安全性の面からリスクが高まります。
p39より
サイトによりますが会社全体の資産に対して返済義務のないお金が「50%以上あればひと安心」と言う事です。
日本の企業の平均は40%だからそれよりほんの少し多いだけで合格なんです。逆に言うと日本の企業は保有している資産の内60%は返済義務のあるお金だと言う事なんですね。
当方が保有してるアイ・アールジャパン(以下IRJ)は自己資本比率は四季報春号で「74.9%」。
自己資本比率だけでも優良企業という事がわかりました。
②有利子負債が多くないか
筆者は有利子負債の額と現金同等物の額を比較してリスクの程度を判断することにしています。
p40より
現金同等物とは3か月定期預金や普通預金の様にすぐに換金できるものを指します。
その金額が金利(レンタル料の事)を払わなければいけない金額に対してどの程度あるかが重要な判断材料になります。
四季報には「財務状況」の以下の部分に掲載されています。
借金はないに越したことがありませんが、運転資金の全てを自腹で調達するのは難しいと思うので支払い能力を越えない借金ならしてもよいと当方は思っています。
そしてIRJの場合は現金同等物が「27億2600万円」。一方の有利子負債が「2億円」。
現金同等物における有利子負債の割合は約7%。現金同等物の方が圧倒的に多いので倒産のリスクは低そうです。
③営業キャッシュ・フローがマイナスになっていないか
営業CF(キャッシュフロー)がプラスということは、「本業でキャッシュが獲得できている」事を表します
p42より
企業が何のために活動しているかと言えばお金を稼ぐ為です。
お金を稼いで商品を作り、経費を払い、従業員に給料を払い、借金を返したり、税金を払ったり、配当金を払ったりします。
そして残ったお金は次の事業に使います。全ての大元は現金です。
しかしながら、企業が商品やサービスを売っても、実際にお金が入ってくるまで時差がある場合もあります。
その間、今度は自分が何かの支払いをしていると手元のお金が無くなって帳簿上は黒字なのに倒産してしまいます。
本の中にも書いてありましたが、損益計算書に書かれている5つの利益「売上」「営業利益」「経常利益」「純利益」「1株利益」は黒字でも、営業CFが2期連続でマイナスだと、お客さんの代金の支払いが滞った場合とても危険な状態になります。
ホリエモンは「あり金全部使え!」と言っていますが、やっぱりある程度の現金や貯金は持っていた方がよさそうですね。
だから営業CFの数値を観る事もその企業の倒産リスクを計る上で大切です。
IRJは先述の画像にあるように営業CFは「13億5200万円」です。本業で充分なお金を稼いでいるので心配はなさそうです。
④累積損失がないか
総資産の30%の利益剰余金があれば、十分に優秀
p44より
総資産とはその企業のこれまでの活動の全てを表しているもの。
利益剰余金はその企業のこれまでの利益の累積を表しているもの。
利益剰余金がマイナスになっていると言う事は、その企業の活動に何か大きな欠点があると言う事です。
一年単位で見ていけば小さな赤字も何年にもわたって放置しておけば大きな赤字となり、事業だけでは返済できないので利益を崩しているとも考えられます。
赤字を生み出している原因は何なのか。残業の多さなのか、備品の使い過ぎなのか、設備が古くて余計な電気やガスを使っているのか、いずれにしてもそういった原因を解消できなかった企業は投資の対象から外した方が賢明です。
IRJの累積損失を計算してみると
利益剰余金34億2100万円 ÷ 総資産62億2100万円 × 100 = 55%
充分優秀ですね。安心しました。
まとめ
①自己資本比率が低くないか
②有利子負債が多くないか
③営業キャッシュ・フローがマイナスになっていないか
④累積損失がないか
今回は7項目の内の4つにして、残りの3つは次回の記事でご紹介したいと思います。長いので。
筆者の足立氏いわくこれでも簡易的な診断ですが、この記事で紹介した4項目だけでもかなりの確率で倒産リスクの高い企業を見抜けるのではないでしょうか。株式投資は数字の世界ですが最初に四季報を見た時の印象って大事だなと思います。紙の四季報の「にこにこマーク」や「財務欄に▲が多いな」とか。
数字の裏にいるのはいつも人間で、その人間がどういった感覚で数字を生み出しているのか?
そこを自分なりに理解して答え合わせして、修正していくのが賢い投資家の在り方じゃないかなと今回思いました。
次回の記事は残りの3項目をご紹介します。
ありがとうございました。