コロナ化の影響で企業のDX化が進んでいます。
DXとIT化はよく混同されますが、IT化とは一般的に人間がやっていた仕事を機械に置き換えることを言います。
対してDXはIT化を手段として会社の在り方そのものや働き方を変えて競争力を向上させることを目的としています。
分析記事を書いていて気付いたのは、
・もともとシステム開発をやっていた会社がDX事業を始める、またはシステム開発からコンサルティング業に乗り出すといったパターン
・業績が綺麗な右肩上がりの企業は少ない
と言う事です。
成長企業の場合、ビジネスモデルを変化させる際の先行投資が重くのしかかったり、財務基盤が外部の要因に左右されやすいですのですが、

銘柄選びの着眼点
・ビジネスモデルを変化させているか?
・テンバガーの可能性があるか?
記事の構成は
・ビジネスモデル
・業績
・チャート
・懸念点
・まとめ
目次
セラク
システムインテグレーション(システムの企画開発~保守運用までやる事)の会社です。
最近では農業のDX事業に取り組んでいてそれが特徴になっています。掲示板などでも人気の銘柄ですが、担い手不足の農業分野にどれほどDX浸透するかがポイントですね。
セールスフォースからパートナーに認定されているのも強みです。
Orchestra Holdings
ウェブマーケティング(ネット広告)からDXに取り組んでいる会社です。
成長企業の中では比較的業績が安定しているように思えます。チャートも綺麗な右肩上がり。
課題は営業利益率が6%前後である事。
ベイカレント
システム開発からコンサルに事業を拡げた会社です。
ベイカレントのコンサルタントが特別優秀という訳ではないのですが、全国を飛び回って案件を獲得する営業力と2000人を越える社員数で、他のDX会社を圧倒しています。
ただ、あくまで「人の数」が命のビジネスモデルなのでこれからも業績を拡大させていく為に、採用を続けられるかがカギですね。

ライトアップ
創業20年目のインターネット事業会社。
Jシステム、Jコンサル、JDネットが主力サービス。
営業利益率は昨年度28%と今年度30%の予定。
HPで自社サービスの解説やIR動画を多数UPしているので株主の事を考えているのがわかります。
社長が株を44%保有しているのもIRJを思わせて好印象。
課題は業績が提携先や顧客の動向に左右されやすい事です。
マネジメントソリューションズ(MSOL)
プロジェクトマネジメント(PMO)を主力サービスとした会社。
PMOとはプロジェクトのリーダーを支援する組織の事。日本では「事務局」に近いニュアンス。
プロジェクトの流れや進捗を可視化してリーダーが決断しやすい状態にすることが仕事。
クライアントが自社内の人間で設置する事もあるが、コストや人材探しの面から外注することが多く
MSOLへの発注が増えているとの事。
強みとしては
・日本ではPMOを専門としている企業が少ない
・クライアントと直接契約するのはMSOLだけ
が挙げられ経済的な堀になっています。
ベイカレントやLTSと業務内容が似ているのですが、若干違うようで当方の様な素人には分かりづらいビジネスモデルです。逆に言えばスキマ産業なので狙い目かもしれませんね。
デジタルホールディングス
ネット広告代理店として業界第2位のオプトが、昨年7月からデジタルホールディングスに商号を変えて、再スタート。
主力サービスは広告事業と金融事業。
それに加えデジタルシフト事業(DX)を育成中。会社としては広告事業に区切りをつけてこちらに軸足を移していくとの事。
ラクスルなどの売却益を得た金融業が今期は好調の為、1Q時点で上方修正を発表しました。
最近の総合商社も同じ流れで、本業の伸びしろがなくなった企業が選ぶ手法と思います。
まあ、ハマれば大きな利益を得られますが。
但しデジタルシフト事業と合わせて未知数なので、デジタルホールディングの株を買う方はその点を注意してください
ベース
システム開発の会社。
主力事業はシステム開発、ERP、その他ソリューションです。
しかし、売上の8割はシステム開発によるものですね。
システム開発には3種類あって
・システム開発
・保守運用
・社員支援
中でも保守運用がストックビジネスになっているのが好業績を支えている要因です。
社員支援とはつまりクライアントに自社の社員を派遣することで、これもIT関連では定番のサービスです。
従業員の4割は中国人なのも特徴です。
メンバーズ
1995年創業のマーケティングの会社。
デジタルホールディングス(旧称・オプト)は顧客と広告制作会社を仲介する企業でしたが、メンバーズは顧客と直接やり取りをし、WEBサイトのリニューアル等を通じて顧客の業績を伸ばすサービスを行っています。
みずほ銀行のワンタイムパスワードの申込数を28倍にした後さらに2倍にしたり、トレンドマイクロの体験版セキュリティソフト申込数を5.5倍にするなど素晴らしい実績を誇っています。この会社は社内起業させ優秀な専門家を育成していることが特徴。顧客に対してエンジニアが一人で対応するのではなく、そのような優秀な人材を集めてチームで対応するのが強みになっています。
気になるのは時価総額が2021年7月1日現在で、435億しかない事。これほど優秀で老舗企業ならもっとあってもいいはず。定性面は成長余地があっても定量面では一つの節目が来ているかもしれませんね。他のマーケティング会社も意外と時価総額低いので、業界全体でDXへ軸足を移せるかというタイミングだと思います。
ALBERT
AIを使ってビッグデータの分析を行う企業です。
トヨタや東京海上日動火災保険と提携をして自動運転の開発に尽力しているのが特徴。
ただ、売上内容が監査に引っかかったり、創業者が内部情報を決算前親族に伝えて地検に訴えられたり、現場の奮闘とは違って経営陣の脇の甘さが目立つ印象です。株価も近年は横ばいが続いており、相場は冷静に評価していますね。
データサイエンティストは2030年に14万人不足すると言われています。この会社が行っている育成事業は成長分野なので、会社の私物化はやめて役員はしっかり任務を果たしていただきたいです。
デジタルインフォメーションテクノロジー(DIT)
大手SIからシステム開発を受託している企業です。
業務システムと組込みシステム、自社商品開発がメインですね。
近年は売上の伸びはいまいちなものの、利益率が改善しているので業績そのものは堅調です。
ただし、筆頭株主はNIインベストメントと言う会社で、2位が代表権のある会長(元・創業社長)。現社長は株主としては3位。その為今後、経営の不自由さが表れる場面も想定しておいた方が良さそうです。
ショーケース
SaaS型マーケティングの会社。
主力事業は4つ。
・マーケティングSaaS事業
・広告メディア事業
・クラウドインテグレーション事業
・投資関連事業
売上の半分以上はSaaS事業によるものです。
代表的なサービスとしては、ネット上で会員登録などする時の個人情報入力をサポートする「フォームアシスト」。
ネット上で本人確認のサポートをする「プロテックアイディーチェッカー」。
ガジェットやテクノロジーを扱ったWEBマガジンの「bitWave」。
子会社でベンチャーキャピタルとスタートアップ企業を引き合わせるサービスも行っています。
ポイント
懸念点は2019年に不採算事業を処理し社長交代、昨年はコロナの影響で業績が停滞。そして成長途中であるにもかかわらず配当を出している事です。
つまり経営が不安定であることです。
この会社もクラウドインテグレーション事業(DX)に乗り出しているので、そこが伸びればいいのですが。
事例が横浜銀行だけでは物足りないですね。