成長株投資の神」の書評、第4回目です。

ミネルヴィニやその仲間たちの実践的な手法を楽しく学んで取り入れていきましょう。
この本は全部で11章からなっていますが、今回は8章と9章を紹介します。
この記事の内容
リスク管理
トレード管理
この2点を紹介します。
同じ著者でも1冊の本で語り切れることは限られているので、続けざまに2冊、3冊と読んでいると答えが見つかったりします。
鉄は熱いうちに打て、の言葉通り疑問を忘れないうちにさっさと解決しちゃいましょう。
関連本のまとめ記事はこちら
成長株投資の神 著者 マーク・ミネルヴィニ 訳 山田雅裕
監修 長尾慎太郎 3080円
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著者紹介
マーク・ミネルヴィニ
数千ドルから投資を始めて、口座残高を数百万ドルにした。
自分のSEPAトレード法の効果を試すために、1997年に25万ドルの自己資金でUSインベスティング・チャンピオンシップに参加し、
155%のリターンを上げて優勝した。また、自らはSEPAトレード戦略を使って、5年間で年平均220%のリターンを上げ、
その間に損失を出したのはわずか1四半期だけだった。
投資講習会などの啓蒙活動も精力的に行っている。ウォール街で30年の経験を持つ伝説的トレーダー。
リスク管理
これまでの記事で損切ラインは「オニールが7~8%、ミネルヴィニが10%」と紹介してきました。
ただし、今回この本を読んで損切りについて新たな発見がありました。
ファンダメンタルズで買っている人は株価で損切ラインを決めることはないのですが、
時折短期トレードをする事もあるかもしれないので、損切について学んでおきましょう。
「▲10%で全部売る」ではない
174pの
「損切りする時は一気に売るか?それとも分散して売るか?」という要旨の質問に
という質問に対して
ミネルヴィニ・・・少しずつ損切りをしてその仕掛けが上手く行く機会を増やしたい。10%は私がサジを投げるところで、最大の損切ポイントです。
ライアン・・・5%ずつ2回に分けて損切りをするでしょう。
ザンガー・・・5%でいったん様子見をする方を選ぶでしょう。
リッチー二世・・・5%ずつ2回に分けて損切りをします。
と答えています。

だからそれまでは株価の反転を待つことができると。
たけど実際は株価の動きとポジションサイズに合わせて段階的に売っていくのが正解だったんですね。
思い返せば、損切りの逆指値を▲10%に置くという事は、その銘柄ボラティリティが大きい事を想定しています。
という事は、いざ下落が始まったらあっという間に10%以上下落する可能性が高いという事でもあります。
それなら一気に▲10%で売るのではなく▲5%辺りになったら徐々に損切りを始めて、最後に残った保有株を▲10%で
売るのが妥当でしょう。
その一方、銘柄に問題がなく単純に自分の買うタイミングが悪かっただけなら下落の途中で反転して上昇する事もあるので、
全部手終ってしまうのは惜しいです。
以上のように考えると、損失を抑えつつも利益を出す可能性を残しておくなら一気に売るのではなく段階的に
損切るのが正解ですね。
ポイント
▲10%は最後の損切ライン。そこで一気に売るのではなく、その前から段階的に売っていく事が大切。
買値付近に節目や支持線があるか?
181pで
「買い値から20%程値上がりした場合、損切ラインをどうするか?」という要旨の質問に対して、
ミネルヴィニ・・・不安を感じない水準が何パーセント下かで決めるだけのこと。
ライアン・・・移動平均線かトレンドラインといったサポートラインがあってほしい。
ザンガー・・・私が実際に使っている損切りの逆指値は2~3%下辺りです。
リッチー二世・・・私は自分の平均損失に基づいた比率で損切り水準を決める。
と答えています。
これらの発言を踏まえて当方のLTSの取引を反省してみたいと思います。
当方は今現在チャートを週足で見ています。
しかしLTSを買った当時は日足で見ていたので”だまし”に会っていることが一目瞭然ですね。
LTSをモメンタム銘柄とするなら最後のベースは7月で、その後は押し目無く上がっています。
これがまず危険な状態。
そして当方が買った10月の1か月間のテクニカル指標は以下の通り。
・株価がボリンジャーバンドの+2σを越えている
・下値支持線は4000円前後。乖離率は約25%
・MADCのヒストグラムは「赤→ピンク」に転じており、買いの勢いがなくなっている
・RCI(株価のトレンドを見る指標)は80弱で、買われ過ぎのサインが出ている
・当時の週刊平均出来高70万株。ピーク時は160万株以上。
ミネルヴィニたちならまず近づかない状況です。
今の当方でも絶対に買わない状況です。
それなのに、なぜ買ったのか理由を考えると「当時は菅政権誕生でDX銘柄に注目が集まり、当方はその雰囲気にのまれていた」事ですね。
最低でもここで利確しておけばよかったものの、現在まで持ち越しということになっています。含み損は▲100万円。
ただし、逆に言うと「チャートを週足で見れば、株価や出来高、及び各テクニカル指標の正確性が増す」という事です。
現に今の指標を見ると、
RCIは-55、
ヒストグラムは緑→薄緑へ転換
株価がボリンジャーバンドのー2σに触ってから反転
しています。
このまま決算発表を無事終えて、株価ジリ高で上昇していってほしいです。
ポイント
買う時はサポートラインや移動平均線などが近くにあることが条件。ない場合は▲10%よりも買値に近い所に損切ラインを置くか、そもそも買わない。
トレード管理
保有期間はどれぐらいか?
196pで
「どれくらいの期間保有するか?」という要旨の質問に対して、
ミネルヴィニ・・・勝ち株は2~3四半期
ライアン・・・値上がりした銘柄の保有期間は数週間から数か月
ザンガー・・・保有するのは90日以内
リッチ―二世・・・含み益になっているトレードは平均で8~9日
と答えています。
成長株投資の書評記事を書いている時にもっとも疑問に思ったのが保有期間についてです。
保有期間が変わると売却のタイミングが変わる、売却のタイミングが変わると買うタイミングが変わる、買うタイミングが変わると資金管理が変わる。
いくらファンダメンタルズを分析しても最後は売買の注文を出さなければいけないので、目安となる保有期間が不明なのはストレスでした。
今回この記述を見て、保有期間が最も長いミネルヴィニでさえ通常2~3四半期、他の投資家は決算跨ぎをせず売却という事がわかりました。
という事は、保有株が大きく値下がりをしたとしてもそれはモメンタムとかテーマ性に乗っかった短期投資家が利確しただけの事。
その企業の成長に期待している投資家は引き続き居座っているので、「暴落はむしろ歓迎」のスタンスでいいんじゃないかと思いました。
短期投資は自らの力だけで資金を回転させ資産を増やす方法。並大抵の努力じゃ目標を達成できないでしょう。
一方の中長期投資はその企業の社長及び社員に自分の資産を預け運用してもらい、配当や売却益を狙うので
銘柄選定が正しければ売買タイミングを間違えたとしても、十分利益を出せる時間は残されています。
自信があれば”トレード”をしても良いですが、当方の様な不器用な人は中長期投資をお勧めします。
ポイント
モメンタム投資の保有期間は平均2~3か月。
上限を設けない
209pで
「いくらになったら売るか?テクニカル的な基準があるのか?」という要旨の質問に対して、
ミネルヴィニ・・・私はめったに価格目標を設定しません。
ライアン・・・価格目標を設定することには問題があります。
ザンガー・・・価格目標を設定するのは、せっかくゲートに入った勝ち馬を撃ち殺すようなもの
ニッチー二世・・・一般に私は一定の目標を設定して利食いすることはありません。
と答えています。
これには激しく同意!
ひとりの人間が知っている物事の範囲なんてたかが知れています。
ましてやその分野の専門家でもないのですから、どこまで業績が伸びるか・どこまで株価が伸びるかなんて予想できないのが普通です。
これまでの記事でも述べましたが、当方のIRJにおける事例をご覧ください。
2020年4月23日に手持ちの1600株をすべて売却。
コロナショックと改正外為法の影響を踏まえ業績の伸びが鈍化すると思ったからです。
結果はご覧の通りで、自分で勝手に限界を作ってはいけないですね。
一時当方はこの銘柄を「資産株」として認識していたのにもかかわらず、確証を得る前にイメージ先行で売却してしまったのです。
リーマンショック、東日本大震災、アベノミクス、コロナショックなどいろいろありましたが、専門家の予想の範囲で収まった事例はありません。
だから素人が考える「根拠」ほど当てにならず、場合によっては危険をもたらすものはありません。
根拠と言われる「数字やデータ」はあくまで過去を表しているもの。過去で未来を限定してはいけません。
その根拠が妥当かどうかは後になってわかるものです。
結局は根拠なんて後付けの言い訳でしかないのです。
ポイント
自分の下手な上限設定によって、大きな利益を取り逃がさない事。
まとめ
・リスク管理については「▲10%ですべて売るではない」「株価の近くにベースや移動平均線があるか?」
・トレード管理については「保有期間は平均2~3か月」「価格目標は設定しない」
短期トレーダーは数字によって売買をするのですが、その人たちが価格目標を設定せず、
大きく値上がりする時は波に乗れ、という考え方をしているのは面白かったですね。
数字は誰にとってもわかりやすいもの。しかしそれで表現できることはたかが知れている。
あくまで目安程度に考え株式のもっているパワーと恵みを存分に享受していきたいです。
ありがとうございました。