IRJで800万円の利益を得たshigeです。
当方保有中のLTSが21年期の本決算を発表したので、その内容分析と今後の対応を記事にします。
22年は年始からグロース株保有者にとって厳しい相場が続いています。アメリカの利上げ観測、バランスシート縮小、最近ではロシアの軍事侵攻の懸念などで株価が下落の一途をたどっています。
アメリカの金融政策縮小なんて最初から分かっていたので、むしろ早く行って欲しいぐらいです。
ロシアの件も実際に何か行動を起こしたらアク抜けする可能性もあります。


という訳で、LTSの決算分析を始めたいと思います。
この記事の内容
・LTSの21年12月期本決算の分析
・決算における注目点
・今後の対応
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目次
21年本決算の分析
売上、営業利益など進捗は100%越えで順調!
金額(百万円) | 前年同期比(%) | 進捗率(%) | |
売上 | 7375 | +32.7 | 105.4 |
営業利益 | 600 | +25.4 | 103.5 |
経常利益 | 579 | +29.6 | 109.4 |
当期純利益 | 388 | +43.7 | 113.9 |
上記が主な損益計算書の成績です。
売上は期初計画では7000百万円でしたが、終わってみれば約+400百万円上振れました。
7700百万円まで行けば上方修正だったのですが、4Qだけで2400百万円を稼ぐのはさすがに無理でしたね^^
それでもいい結果です。
営業利益、経常利益、当期純利益は前年比で25%以上成長。この表にはないですが通期のEPSも93円台に乗せてきました。
2Q発表時点では売上・利益ともども計画の達成が危ぶまれる内容でした。
当方も含め、今のLTS保有者の多くは20年秋ごろからの参加だと思われるので、業績が50%以上伸びる事を当然と思っている節があります。ただ、20年はワクト子会社化による業績への貢献が大きかったので(特に1Qへの貢献が大きかった)、今期レベルが通常でしょう。
また、2Qは現場のエース社員が新人研修を行うので業績が伸び悩むという季節要因も踏まえなければいけません。

掲示板では新しいM&Aを期待している書き込みがあるけど、無闇にM&Aするとライザップの二の舞になるので、今の子会社の利益率を改善する事が優先事項だと思います。
従業員増加数もほぼ予定通り
グループ全体の社員数(人) | コンサル・エンジニアの社員数(人) | |
20年4Q終了時点 | 323 | 261 |
21年4Q終了時点 | 461 | 380 |
コンサルタント(人) | エンジニア(人) | 合計 | |
21年採用実績 | 39 | 26 | 65 |
(データは21年12期決算説明資料p19とp38より抜粋)
21年からソフテックの合併 + 新入社員の積極採用を開始。
その為コンサル・エンジニアは1年で119名増加しました。
経理・人事・営業などバックオフィスの人員も加えると138名増となっています。
順調に見えます。

気になるのは離職率
コンサル・エンジニアはこの1年で119名増えました。
その内73名がソフテックのエンジニアです。
ということは残りの46名が新規採用者です。



19 ÷ 65 × 100 =29.2%
コンサルファームの離職率は20%位なのでちょっと高いですね。
今後、決算説明会の質疑応答のIRが出たら注目です。
当方も、機会があればLTSのIRに問い合わせてみようと思います。
上場後4年の成果と課題
決算説明資料の4pに上場後4年間の振り返りの項目があります。
以下概要
・4年間の業績はいずれも期初予想を上回って着地
・22年4月からプライム市場へ
・コンサルだけの会社からシステムの実装も可能へ。エンジニアの単価は改善余地ある
・コンサルタントの採用ペースが保守的だった
・その為顧客からの依頼を断るケースが発生
20年秋をピークに右肩下がりの株価にとらわれがちですが、売上と営業利益を改めて棒グラフで確認してみると、4年間堅実に成長していることがわかります。
経過措置とは言え一応プライムも好材料。
だからこそ、コンサル不足で依頼を断るのはもったいない。
以前のセミナーで社長は「断る位たくさんの相談が来る状態が望ましい」と話しおり、実際それを成し遂げています。
(57:37~あたりからの内容)
ただ、今の望ましい状態を捨ててでも、25年以降の成長を取りに行く方針に切り替えたんですね。
注目点
モードチェンジをする
決算説明資料のp35に中経の見直しについてコメントがありました。以下抜粋です。
今期(2022年)より、私たちはこれまでの堅実な成長シナリオを見直し、飛躍的な成長に向けて、「モードチェンジ」します。
~中略~
またその達成のためのドライバーを「人員拡大」と「個人の成長」にあると考え、これらを引き上げていくために従来よりも積極的な取り組みを行うことにより、上方修正後の中期経営計画の達成、および2025年以降の成長スピードを加速します。
まあ、ベイカレとかマネジメントソリューションズなど同じIT企業が超攻めの姿勢で社員と業績を拡大しているので、LTSもやっと本腰を入れてきたと言う事でしょう。


特にLTSが得意としているビジネスプロセスマネイジメントは顧客企業のそれぞれ違う状況を分析して、プロジェクトの企画をしなければいけませんので、AIではなく人間の担当領域なんですね。
当方は人がそんなに要らないプラットフォーム事業を伸ばした方が効率が良いと思っています。でも、企業の変革にはビジネスプロセスマネイジメントを軸としたプロフェッショナルサービスも必須項目。
なのでこのモードチェンジには賛成の立場です。
中経の数字を上方修正
中経見直しにおいて、昨年発表された業績の数字が上方修正されました。
売上(億円) | 営業利益(億円) | |
2023年 | 100→110 | 変更なし |
2024年 | 120→140 | 18→20 |
売上は23年以降毎年20%成長だったものを、25%成長に変更されました。
そして
23年の営業利益は12億円で変更なし。よって営業利益率は12%→10.9%へ低下。
24年の営業利益率も15%→14.3%へ低下。
ただ、これは現時点での予測なので子会社の利益率が改善してくれば再度上方修正の可能性もあります。
コンサルタント・エンジニアの採用計画
今まで非開示だった採用計画の詳細も発表されました。
コンサルタント(人) | エンジニア(人) | 合計(人) | |
2022年 | 50 | 50 | 100 |
2023年 | 75 | 75 | 150 |
2024年 | 100 | 100 | 200 |
離職率は
22年は30% {(380人の既存社員 + 100人の新規採用)— 年度末450人残る予定} ÷ 100 = 0.3
23年は約23% {(450人の既存社員 + 150人の新規採用)— 年度末565人残る予定} ÷ 150 = 0.2333
24年は約23% {(565人の既存社員 + 200人の新規採用)— 年度末720人残る予定} ÷ 200 = 0.225
今までのLTSの離職率は5~10%だったので、かなり攻めている数字です。そこまでしても25年以降の成長を確信していると言う事だと思います。


売上総利益率の推移
売上総利益率(%) | |
2021年 | 35.6 |
2022年 | 38.0 |
2023年 | 39.0 |
2024年 | 40.0 |
中経達成のために必要な売上総利益率の向上。
LTS単体では40%と言われています。(21年分は有価証券報告書の開示待ち)
子会社が20%程度、グループ全体で35%程。
それを子会社とのコラボ案件を増やすことで全体で総利益として40%まで高めて行くと言う事です。
コラボ案件自体はまだ10%に届かない程度なのでそれを早期に30%まで増やしていくとセミナーで言っていました。
こちらも期待です。
オフィス移転
p32に今年の10月、オフィス移転あることが記述されています。場所は元赤坂。
移転の目的は
・子会社とのコラボの促進
・採用力の強化
です。
LTSはテレワーク中心ながら、どうして今さらオフィスを移転するのか当方は疑問でした。
ただ、LTS公式サイトの「CLOVER Light」にオフィス移転についての記事がいくつかありますが、記事中の画像を見ていると社員さんたちは楽しそうです。
それに、よく言われている通り、新入社員がいきなりテレワークだと社内での人脈がまだないので、質問したくても気を使ってできないことも生産性を下げます。
また、オフィスで自分の業務を行っていると前後の仕事の流れがわかりますし、他の部署の人たちの会話がヒントになったりするのは記事中で書かれている通りです。
要はオフィスか自宅か?の二者択一ではなく、必要に応じて使い分ければいいのだと感じました。


22年は増収減益
もちろん良いことばかりではありません。
成長スピードを加速させるため、22年は先行投資の幅を拡大します。
よって増収減益。
22年期の業績見通し
22年12月期 (百万円) | 前年度比 (%) | |
売上 | 8542 | +15.8 |
営業利益 | 480 | —20.0 |
経常利益 | 460 | —20.7 |
当期純利益 | 297 | —23.4 |
売上以外は20年期に戻るイメージ。
中長期投資家はこの業績予想でも売らないでしょうが、短期筋がどうするか?今年の相場を踏まえると、まあ売るでしょうが・・・。
販管費は採用や広告宣伝に400百万円を割り増して使うようで2766百万円の出費。前年同期比で+36.5%
これが重くのし掛かっています。


当方の対応
乱高下するが継続保有
理由は以下の通りです。
・元々22年までは先行投資の期間だから
・含み損が50%以上で売るに売れない
・中経は上方修正しているから
・総利益は改善しているから
・最終的に売上は5%程度上振れる可能性があるから
21年、22年は先行投資期間。その投資の規模が大きくなったのでマイナスインパクトはあります。
ただ、今年いっぱいでそれも終わり。23年からは割り増しで投資していた費用がなくなり、オフィス移転などの単発の費用も消滅。さらにプラットフォームサービスがいよいよ収益貢献してくる計画です。(プラットフォーム単体の営業利益率は23年が21%、24年が30%の予定)
来年の状況が具体的に見えてくる秋ごろには何らかの動きが出てきて欲しい。


含み損については当方の買うタイミングが間違っていました。これは反省です。
ただ、他のDX株も軒並み下がっているので地合いによる影響が大きい。
つまりマネーゲームで必要以上に下がっているだけ。
中経の上方修正も、売上に対して営業利益が物足りない気がします。
ただ、総利益が確実に改善して行く事や、今回発表はなかったものの海外展開も進捗してきますから、今後も利益の上方修正もあるかもしれません。
まとめ
・21年期は堅調に伸びた
・22年期は先行投資の規模が大きくなり増収減益。ただ来年以降の業績は大幅に伸びる
・保有株は持ち続ける方針
19年~30年までにDX市場は約4倍に成長します。
さらにIT企業は競争ではなく協業しているので、同業他社が伸びている間はLTSも成長すると当方は思っています。
ポイントは採用・教育・子会社とのコラボ促進。
これらの進捗に注目して行きましょう。
ありがとうございました。