
今回はそんなお悩みにお答えします。
アイ・アールジャパンが無名時代から保有し、今年800万円の利益を得たshigeです。

今回はその点に絞って記事にしたいと思います。
この本の内容
著者独自のチェックリスト
この本の良い点
この本の悪い点
よく10冊読めばそのジャンルの基本は分かると言われているので、難解な部分に気を取られず
ずんずんと読み進めて行きたいと思います。
もうこの際、経済新聞は捨てちゃいましょう!
伝説のファンドマネージャーが教える 株の公式 著者 林則行 1760円
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目次
著者紹介
林則行
世界最大の政府系ファンド、アブダビ投資庁の元日本株式運用部長。
中東でただ1人、日本人としてオイルマネーを運用していた「伝説のファンドマネージャー」。
欧米の運用機関でもアナリスト、ファンドマネージャーを歴任したプロ中のプロ。
具体的な実績やデータ表がないので何が伝説なのかはわかりませんが、すごい人という印象。
ネットで関連記事を検索していると、批判している人もいましたが当方は先入観がないので
どん欲に吸収していきたいと思います。
数字嫌いな当方にとっては願ってもない投資法

コロナショックで思ったのは
実際、○○ショックになるとデータとか全く無視して株価は暴落します。
逆に、一度人気に火が付くとテクニカル指標無視して株価は暴騰します。
「数字なんて後付けの言い訳でしかないじゃん!」というのが正直な所です。
それなら投資家は最小限の事だけ知っておけばいい。
エビデンスなんて求めている場合じゃありませんねw
この本の良い所
ファンドマネージャーでありながら個人投資家目線なのが良い。
特にオニールやミネルヴィニを読んで断片的に分かったノウハウを
一連の流れに沿って公式としている点が良いですね。
チェックリストと合格ライン
詳細は省きますが、一部を抜粋すると
・直近1~2年の経常利益(または税引き前利益)の伸び・・・利益20%以上
・今後もゆるぎない成長が見込めるか・・・IRビデオ、資料から判断
・PERは高すぎないか・・・60倍未満
P202より
などがあります。
ぶっちゃけこれがこの本の肝です。
この本のページの9割は上記の項目を詳細に説明しているにすぎません。
ただオニール、ミネルヴィニと比べると数値面が若干違います。
オニールは「売上が直近の四半期に25%以上増加か、売上の増加率が直近2~3四半期で加速している」、
ミネルヴィニは明言していないけど、具体例の銘柄を踏まえると「直近4~8四半期で20%」が合格ライン。
つまり「直近2~3四半期連続で売上が20%以上増加」が外国勢の合格ライン。
この辺の数値の違いはアメリカ市場と日本市場の規模の違いという事か?
それに外国勢はEPS重視していましたが、この本は「経常利益」を重視しているのも面白いと思いました。
極めて日本的ですね。
ただ、今回は省略しましたが著者の提唱する損切ラインは8%。
これはオニール、ミネルヴィニと同水準ですね。
損は小さい内に確定せよという事は共通しています。
著者の投資法の成功確率は60%。損切ラインの設定が大事という事は不動ですね。
著者の分析手順を示している
チェックリストの分析例題で「王将フード」を使っています。
王将フードは⑥の直近2~3四半期の前年同期比の伸びが19%、当期利益はさらに低く12%。普通に考えたら買いの対象から外れます。
ただ、著者は独自の判断基準で「当期利益が低い」という注釈付きにし、買い対象としてキープしています。
当方のような経験不足の投資家の場合、数値が少しでも基準に達していなかったら、買い対象から外してしまうと思います。
ただベテラン投資家の分析方法を参考にすることで、お宝銘柄の取りこぼしが防げるのではと思いました。
もちろん反対意見もあるでしょうが、ネットに出ている各種投資法は結果ばかりに重点が置かれ
こういったグレーゾーンの扱いについて学ぶ機会って意外と少ないんですよね。
だから、この部分の記述については面白いなと思いました。
IR動画で「景気」という言葉が出てきたらアウト
「今後もゆるぎない成長が見込めるか」の判断材料として「IR動画」を上げています。
特にIR動画を見る上でのポイントとして
・まじめにに聞かない
・「景気」というキーワードが出てきたらそこで見るのを止める
の2つは面白い視点だなと思います。
当方もIR動画は何度か見たことがありますが、一言一句聞き逃さないようにして結局何も身につかなかったという経験があります。
著者はその点「ヒット商品や有望企業というものは、わざわざ聞き耳を立てなくても、自然と関心を引くものです。」と言い切っていますw
人間のワーキングメモリ(物事を一時的に記憶しておく脳の場所)は7つまでだそうです。
物事は短期的には7つまでしか覚えられないのです。
だからIR動画を隅から隅まで漏らさず聴こうと思っても、結局何も覚えていないことになります。
逆に他人の何気ない一言に喜んだり、傷ついたりします。
その瞬間は意識していないのに、何年たっても覚えていることが良くありますよね。
だからIR動画の説明も勝手に覚えてしまうようなくらいインパクトのある言葉がでてくるかが大切なんじゃないでしょうか。
それに『「景気が良いから業績が伸びる」では安心して買えない』、という考えはもっともですね。
景気が良い時は特別な事をしなくても上手く行く、逆に不景気の時ほど企業のトップの手腕が大切になると思います。
最近の歴史ブームで関連資料や動画を見ていると、日本の歴史は基本的に不景気でたまに好景気があるように思います。
となると不景気が普通で、たまにボーナスタイムとして好景気があると考えるのが合理的です。
今のような不景気な状況で大きく業績を伸ばしている企業はその素質があるかもしれません。
そういった企業を見極めて投資していきたいなと思います。
著者独自の「売り圧力レシオ」
ある期間において、
売り圧力レシオ=売り株数の合計/買い株数の合計
p186より抜粋
売買タイミングを計る上で使われるRSI等の指標は、終値をもとに計算されています。
一方売り圧力レシオはその日の、始値、高値、安値、終値、出来高を用いているのでより正確な値が出ます。
この記事では具体的な計算式は省略しますが、着眼点が面白いですね。
例えば陽線で終わった日でも出来高が少なければそれは下落が近いかもしれません。
逆に陰線で終わっても出来高が急増していれば、セリングクライマックス(大底)かもしれません。
一般的なテクニカル指標では出来高が反映されていないので、著者の提唱する「売り圧力レシオ」は
使えるようになれば心強い味方になりますね。
この本の悪い所
先ほども述べた通り本の要諦はチェックリストにあるので、細かい部分は気にしなくていいのですが、
あえてこの本の悪い部分を記述してみました。参考にしてください。
説明が回りくどい
例えばP6の「②損を避けることに徹する」という項目では、34行かけて説明しています。
ただ実際に文章を読んでみると最初の13行で結論は出ています。
「上昇相場の時は寝てても利益が出るから、下落相場の時が腕の見せ所」という事なのです。
ただ、その後も投資家心理や「例えば、ソニーを買ったとしましょう~」等と明らかに字数稼ぎの文章が続きます。
こういった記述がなければ随分読みやすい本になると思うのですがね。
具体例が古い
初版が約10年前なので具体例で用いられている銘柄やデータが古いのは致し方ありません。
例えばP112でレオパレスの月足チャートと利益を載せています。
その下の文章では
2001年のITバブル崩壊後にもかかわらず、
地主や家主から好評で業界の常識を打ち破るプランを提供できていることが説明されていました。
ただ、10年経った今どうかと言えば、皆さんご存知の通りレオパレスは凋落しています。
当方もレオパレスは住んだ事がありますが、手抜き工事は分からずとも壁が薄く、隣人の話し声が丸聞こえという事を覚えています。
逆にP100では「ニトリはどうして買ってはいけないのか」と説明されています。
売上が徐々に小さくなり、直近四半期の利益の伸びがマイナスになっているからという事なのですが、
コロナ禍でのテレワーク需要 → 机やパソコンチェアの需要 → ニトリの大躍進
までは著者は見抜けなかったようですね。
皮肉にもP82で著者自身が述べている「業績予測の能力はプロも素人も変わらない」が実現した形となっています。
ただ、業績予測はその企業の社長でも難しいと思うので、あえて著者を責める必要もないと思います。
まとめ
株の公式のまとめ
・チェックリストがこの本の肝
・著者の分析手順を示している
・著者独自の「売り圧レシオ」は面白い視点
・説明が回りくどい
・具体例が古い
覚えることは少ないと言っても、他の投資家との差別化の為に自分で分析しなければいけない事柄があるので、
上手い話はないなというのが感想です。
それでも売上・利益・損切ラインは王道ですから決して間違ったことは言っていないですね。
当方としては著者が会社訪問した時のエピソードを書いてくれたり、IR動画の使い方を示してくれた事が良かったですね。
個人投資家だとなかなかそういったことができませんから。
興味を持たれた方は一度読んでみてください。
ありがとうございました。