
今回はそんなお悩みについてお答えします。
IRJを無名時代から保有し、昨年800万円の利益を得たshigeです。
これまでご紹介してきた本の著者は伝説的投資家だったり、ファンドマネージャーだったり弱小個人投資家にとっては雲の上の存在過ぎて、
ハードルが高かったかもしれません。
という訳で、今回はもっと身近な存在の本を取り上げます。
知っている方も多いと思いますが、「エナフン流株式投資術」です。
この本の内容
・著者が開発した初心者向け投資のフレームワーク
・企業の成長イメージを梨の木で考える
この2点がポイントです。
エナフン流株式投資術 著者 奥山月仁 1650円
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国や会社は個人を助けてくれません。それは今回のコロナで明確になりました。
自分の身は自分で守る、を念頭にコツコツ勉強していきましょう。
前進していれば必ず最後は笑える!!
目次
著者紹介
奥山月仁
会社員投資家。高校2年から株式投資を開始。投資歴は約30年。
故・蝋山昌一大阪大学教授のゼミで証券理論を学ぶ。ピーター・リンチに倣い、わかりやすい成長株に中長期で投資し、数億円の資産を築く。東京都在住。
公式サイトはこちら
投資スタイルは割安成長株投資。
運用資産は億単位なのに5銘柄程度に投資しているのが特徴。
かつては短期トレードやチャート分析も一通り勉強してみたが合わなかったという事で、
ピーター・リンチの本に触発され成長株投資に舵を切ったのだとか。
ピーター・リンチとは
アメリカの投資家でメディアからは「レジェンド」と呼ばれている。
「自分が知っているものに投資しろ」「テンバガー」など数々の名言を生み出した。
投資期間は3年~4年
”個人投資家はプロにも勝てるという考え方が特徴”
要約
現状日本ではその是非は別として、従業員が稼いだ利益が株主に吸い上げられるという構図になっている。
だから従業員として一生懸命働いてもさして給料は変わらないし、社会の閉塞感につながっている。
それなら従業員も投資をすればいいではないか、と考えるが妥当だろう。
しかし、多くの人は株式投資に近づこうともせずあきらめムードが漂っている。
なぜそんな状態になっているかというといろんな理由があるが、その一つに「株式投資を体系的に学ぶ機会がないから」というのが著者の見解。
この本は初心者向けに著者が考案した「つ・な・げ・よ・う」というフレームワークを用いて
株式投資のハードルを下げることに成功している。

この本の特徴「つ・な・げ・よ・う」
つなげよう理論の具体的な説明は以下の通りです。
「つなげよう」とはSNSが発達した現代ならではの視点だと思いますが、

つ 強みを知る・・・自分の強みを知って大化け株を探す
な 流れを知る・・・業績、相場、市場評価(PER)で成長株の株価は動く
げ 原理を知る・・・株価を動かす原理を知り、自分の投資ストーリーを設定する
よ 弱みを知る・・・個人投資家の弱みを克服・カバーできるよう工夫する
う ウラを取る・・・企業が成長する証拠をつかむ事
「身近な所から銘柄を探し、その企業が成長する裏付けを調べ、自分が不利にならない投資スタイルで、一喜一憂せず株価の上昇を待つ」
という事になります。
ただ、オニールやミネルヴィニを読んできたからならこの本の内容は物足りないでしょう。
逆に言えばそれだけ自身のレベルが上がったという事なので、基本の復習という位置づけになりますね。
以下、もっと具体的に説明しましょう。
つ 強みを知る
”強み”とは「銘柄選びをする際、投資家自身の個性や好きな事を中心にしよう」という事です。
ゲームのポケモンGOが好きなら任天堂、工場勤めなら工具等の通販を行っているMonotaro、百均が好きなならセリア等。
機関投資家なんて工場の現場の事は分かりませんから、Monotaroという銘柄の発見は現場作業している人の方が早い、という事。
ただし、本の中に載っている銘柄はBtoCと言われる消費者と直に接するビジネスなので、生活していれば自然と見つけられます。
その点、当方が好んでいるDXコンサルティング銘柄だと一般消費者ではまず存在に気づけません。
その事は踏まえておく必要があると思います。
な 流れを知る
”流れ”とは「成長株の株価変動要因は、業績・相場・市場評価」に集約されるという事です。
株価はおおむね業績に連動するという事はこれまでの記事で何度も取り上げてきました。
しかし、それは3年以上の長期のスパンで見た時の話で、1~2年の短期で見ると普通に含み損が10%越える事もあります。
さらに業績以上に株価が上昇するのは市場評価(PER)による人気もあります。
成長株投資をするならそれぐらいの覚悟が必要ですよ、という事です。
げ 原理を知る
”原理を知る”とは「株価が決定する原理原則は、業績・リスク・金利にある」という事。
しかしこれだと、”流れ”で取り上げた「業績・相場・市場評価」と大差ないと思う。
例えばp113には外部環境の変化が原理にどう影響するかと図で説明されている。
そして急激な円高が起きた場合輸出企業にとって
原理①(業績) 為替差損↓国際競争力↓
原理②(リスク) リスク増大↓
原理③(金利) 金利低下↑
総合判断 ↓
*矢印の向きは銘柄にとってプラスかマイナスかを表しています
と金利以外に悪影響と説明されているが、当方の理解力ではよくわからないというのが正直な所。
”業績・相場・市場評価”でいいんじゃない?と思う。
この辺は各自本を買って考えるなり、著者に質問するなりしてください。

よ 弱みを知る
”弱みを知る”とは「個人投資家には2種類の弱みがあるので克服するか、弱みを回避することが大事」という事。
2種類の弱みとは
自分の努力で克服できるもの・・・会計の知識がない等
自分の努力では克服できないもの・・・会社員だから取引画面を見られない等
会計の知識不足の克服方法は、実際に少額で株を買い勝ったり負けたりしながらやると真剣さが違うので身につく。
取引画面が見られない事の回避方法は、取引回数が少ない「割安成長株投資」に切り替えるなどの対策が紹介されている。
ただ、実際に取引してみると株で利益を得たいだけなら会計知識は不要というのが当方の考えです。
理由
①余計な知識を入れるとかえって混乱する・・・ネットの掲示板のコメントがそれにあたる
②会計の知識よりチャンスが来るまで待つことが大事・・・会計知識があれば高値掴みは関係しない訳ではない
が理由です。
このブログは数字をなるべく使わずに利益を上げることを目的としていますので、
弱点については「投資スタイルで補う」事を良しとします。
う ウラを取る
”ウラを取る”とは「企業の概観と成長性を把握する為に、決算書や会社資料を確認する事」です。
企業の概観のウラを取るプロセスは以下の5つ
成長性・・・会社四季報や決算説明資料で詳しく分析する。
健全性・・・自己資本比率、キャッシュフロー、現金同等物と有利子負債の差をチェック。
商品・サービス・・・実際に使って体験する。体験できない時はROE、ROAで判断する。
企業の外部要因・・・景気、為替、政治動向、国際情勢。どの業界か?どんな業態か?
企業の経営者・・・魅力的な人を見分けるのは難しいので事業計画、事業そのものを調べる。
事業そのものって具体的にどこを見ればいいのか「?」ですね。
海外展開しているとか、新サービスを導入しているとかですかね?
中経も努力目標だったりするので、この辺の見極めが投資の成果を左右するのでしょう。
企業の成長性のウラを取るプロセスは以下の3つ
企業の情報を集めて確認する・・・その企業のHPで製品情報や経営者の考え方、ビジネスモデル、近年の業績推移を確認する。
決算で業績動向を分析する・・・5~10期分の損益計算書を確認する。その際、累計ではなく当該四半期単独の数値を調べる事。
成長の継続性を吟味する・・・成長の限界はどのあたりにあるか?ビジネスモデルの中に成長の仕組みが内在している構造か?


以前の記事で「株の公式」という本をご紹介しましたが、その中で”経営者が景気を理由にしたらその時点でシャットアウト”という趣旨の内容がありました。
今回もそれが当てはまり、本当にいい会社なら景気に関わらず業績が拡大するので、保有株を焦って売らないようにしたいところです。
逆に業態は重要項目です。
その企業が成熟産業に居たとしても、独創的なビジネスモデルなら市場を実質独占できるので、どれだけ「唯一無二」でいられるかが大事です。

最後にもう1点。
この本にはチャート分析が載っていません。当方もチャート分析は基本しないのですが、買うタイミングだけはこだわった方が良いと思います。
大抵の投資家は含み損に耐えられなくて損切するので、そうならないよう極力安く買えるよう努めるべきです。
当方が面白いと思ったこと
ここまでは一般的な投資本と大差ないなようです。
それでは記事を書く意味がないので、何かこの本ならではの考え方はないか?という事で、
当方が面白いと思ったことを1つお伝えします。
それは、奥山さんのブログタイトルにもなっている「企業の成長を梨の木に例える」というアイデアです。
企業の成長を”梨の木”に例える
まず、経営者がどんな土地で何の育成をするか決める(外部要因)
そして、木の幹が太くなるよう手入れをする(内部要因)事で、立派な果実が付く(商品・サービス)。
その過程で、風に吹かれたり日に照らされたり(政治や景気の変動)、野生動物や害虫に襲われたり(投機家、短期投資家)しながら
最終的にはその地域全体に多大な幸福をもたらすという流れ。

会社と投資家双方がwin-winの関係になれるように、日々の株価に一喜一憂せず堂々としていましょう。
まとめ
体型的に学べば株式投資は強い味方になる
「つ・な・げ・よ・う」という投資法がこの本の肝
企業の成長を「梨の木」に例えると理解しやすい
この本はあくまで株式投資の考え方や最初の流れを説明したに過ぎないものです。
よって決算説明資料や四季報の具体的な見方、売買のタイミングについては別の本を読む必要があるなと思いました。
当方個人は、この本をきっかけにピーターリンチに興味を持ちました。
ピーターリンチって言うと短期投資家というイメージだったのですが、実は割安成長株投資家だったんですね。
チャンスがあればまた彼の本も紹介してみたいと思います。
この記事が読者の方の参考になればうれしいです。
ありがとうございました。